ヤンキース脱落で混迷、大谷争奪戦でパドレス優位なワケ 蜜月関係&顔なじみ強力メンバーで面談

2016年2月に米アリゾナ州ピオリアで行われた日本ハムのキャンプで、大谷に注目するグリーン監督(右)=リョウ薮下撮影

 ポスティングシステムで米大リーグ移籍を目指す日本ハムの大谷翔平投手(23)が4日(日本時間5日)、滞在先のロサンゼルスで、移籍先候補の米球団と直接面談を開始した。米NBCスポーツによると、ジャイアンツが最初の面談相手だった。大谷は前日の3日(同4日)までの“書類選考”で、米メディアが本命視していたヤンキースなどを外し、最終候補は、ジャイアンツ、マリナーズ、パドレス、エンゼルス、ドジャース、レンジャーズ、カブスの7球団に絞り込んだ。夕刊フジはパドレスが一歩リードとみる。その理由は…。

 面談の席につくことができなかったヤンキースのキャッシュマンGMは「大谷は西海岸が本拠地で、市場規模の小さいチームを望んでいる」と恨み節。地元紙『ニューヨーク・デーリー・ニューズ』は「なんというチキン(臆病者)」と大谷をこき下ろし、来季ニューヨークでブーイングを浴びせられるのは確実だ。

 米メディアは、チーム力、ブランド力、資金力を兼ね備えているヤンキースに目もくれなかった大谷について、「一体何を求めているのかわからない」と理解不能の様子。しかし、球団選択の最大のポイントが、二刀流をどう実現させられるか、にあるのは明白だ。

 代理人のネズ・バレロ氏(54)が、事前に全30球団に送った質問状には「投手と打者両面の評価」「起用に関するプラン」「育成法と医療体制」など二刀流を継続する上で必要となる球団の具体的な姿勢を問う項目が連なっていた。

 「アスレチックス、ダイヤモンドバックスなどは、西で市場規模が小さいという条件を満たしているが、それでも落選したのは、二刀流との向き合い方に大谷側が疑問を抱いたからだろう」と大リーグ関係者は分析する。

 そこで、米メディアの間で「ラッキー7」と呼ばれる書類選考通過7球団のうち、本命に浮上するのがパドレスだ。

 西海岸のカリフォルニア州で温暖な気候と軍港都市として知られるサンディエゴに本拠地を置き、日本での知名度はさほどでもないが、かつて大塚晶文投手(現同球団傘下3Aコーチ)、井口資仁内野手(現ロッテ監督)が選手として所属していた。

 2008年から提携関係にあった日本ハムは、昨年と今年の春季キャンプをアリゾナ州ピオリアのパドレスの施設で行い、15年には金子誠1軍守備走塁コーチ、昨年は中嶋聡1軍バッテリー兼作戦コーチが留学。現在も野茂英雄氏と斎藤隆氏がアドバイザーとして在籍している。

 MLBネットワークのジョン・ヘイマン記者は、「球団は大谷に詳しいメンバーを面談に送る予定だ。野茂、斎藤のほか、5年前にドジャースに所属して大谷の入団交渉を担当していた幹部のローガン・ホワイト氏とエーシー興梠(こおろぎ)氏、スポーツ医学ディレクターの中垣征一郎氏、さらに日本でプレーした経験のあるアンディ・グリーン監督も同行する」

 興梠氏はドジャース時代、野茂氏、黒田博樹氏を担当したベテラン。グリーン監督は、わずか18試合の出場しかなかったが、2007年に日本ハムでプレーした。

 この中で「何よりも大きいのは、今年から加わった中垣さんの存在だ」と前出の関係者が指摘する。昨年まで日本ハムのトレーニングコーチを務め、今年からパドレスに加わった。

 かつてダルビッシュ有投手(31)=ドジャースFA=が日本ハムからレンジャーズに移籍した際に専属トレーナーとして帯同し、昨年末ヘッドハントされる形でパドレスに移籍した同氏は、13年の大谷入団時から昨年までトレーニングを指導してきた。

 「(二刀流は)受け入れてくれる態勢や環境があって初めて成り立つ」と話す大谷を、最も近くで見てきた中垣氏からふんだんに情報が得られるパドレスは、二刀流に関するノウハウで他球団の一歩先を行っているのは間違いない。

 DHのないナ・リーグだけに二刀流のためには守備につかなければならないが、米ESPNは「外野はマーゴット(昨季打率・263、13本塁打、39打点)などがいるが、それ以外は何も決まっていない」としており、いつでも出場できる。

 一方、ここにきて米メディアが本命視し始めたのはマリナーズだ。確かにイチロー(マーリンズFA)、佐々木主浩氏(野球解説者)など数多くの日本人選手が活躍してきた歴史があり、なじみ深い。

 ジェリー・ディポトGMは「われわれにとって最悪なのは、球団の歴史を変えるチャンスがあるのに、ただ指をくわえて待っていることだ」と発言。二刀流受け入れのために、大砲ネルソン・クルーズを動かして、DH枠を開けることも辞さない姿勢を示している。

 ただ、大谷は先輩日本人大リーガーを自分のフィーバーに巻き込みたくないため、日本人選手が所属する球団を避ける意向を持っているともされる。その点、マリナーズは岩隈久志投手(36)が傘下マイナーに在籍していることがネックとなる可能性がある。

 カブスは、内野5人シフトを繰り出すなどアイデアマンで名将の誉れも高いジョー・マドン監督が、二刀流に「私はこの概念に魅力を感じてきた。未来の潮流になると思う」と興味津々。

 ジャイアンツは、この日の面談で、ベアCEO、エバンスGM、ボウチー監督のほか、主軸のポージー捕手も同席したという。ボウチー監督は「(大谷は)特別な男だ。先発で投げつつ、300-400打数も記録できる可能性を持つ」と絶賛し二刀流は可能だと説いている。

 だが、両球団はシカゴ、サンフランシスコという大都市に本拠地を置いている点で、ロサンゼルスのドジャースを含め不利といえるかもしれない。米メディアは10日(同11日)から始まるウインターミーティング前の早期決着を予想している。