誰もが「想定外」大谷、エンゼルス契約の舞台裏 選手に寛容な地元メディア、二刀流に最適な球団環境 本命視パドレスは言葉失った?

大谷はエンゼルス入り決定後、ロサンゼルスの代理人事務所に姿を見せた(共同)

 日本ハムからポスティングシステムを使って、米大リーグ移籍を目指していた大谷翔平投手(23)は8日(日本時間9日)、ロサンゼルス郊外のアナハイムに本拠地を置くエンゼルスと契約することを決めた。日米両球界が注目した投打の「二刀流」の去就は、ミステリアスな展開の末、誰も予想しなかった球団に決まった。

 米国のメディアにとって2度目のショックだった。

 最初は、本命視されていたヤンキースが面談さえ拒否されて全米を驚かせ、当惑させた。そのヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMが「大谷は西海岸の小規模な都市を希望しているようだ」と予測したことからマリナーズと、パドレスが本命に浮上した。ところが、結果はノーマークのエンゼルスだった。

 大谷の代理人であるネズ・バレロ氏は「今朝、徹底したプロセスを経て大谷はエンゼルスと契約することに決めた。この間、大谷が行きたいチームについて、リーグ、時差、球団の規模の大きさなど、さまざまな憶測があったが、大谷は30球団から出された回答にすべて目を通し、面談ではしっかりと球団のプレゼンに耳を傾けていた。そして、最終的にエンゼルスとの強いつながりを感じ、メジャーでの最終目標を達成するのに最適なチームだと判断した」との声明を出した。

 エンゼルスは同日、「大谷と契約できたことを名誉に思う」と声明を出した。

 エンゼルスはカリフォルニア州アナハイムを本拠地とし、マイク・トラウト外野手や、指名打者のアルバート・プホルスら強打者が所属する。2000年からマイク・ソーシア監督がチームを率いている。日本選手としては過去に、長谷川滋利、松井秀喜、高橋尚成が所属したことがある。

 ロサンゼルスのダウンタウンから高速で1時間。ディズニーランドに近く気候は温暖。今季80勝82敗と負け越したエンゼルスは、投打で大谷の力を必要としている。

 地元記者は、ニューヨークやボストンと違い、選手やチームに寛容だ。仮に、大谷がヤンキースで二刀流デビューし開幕から打率2割台に低迷したなら、即座に「二刀流アウト」とされるだろうが、エンゼルスなら多少、執行猶予期間を長くもらえそうだ。

 大谷がトラウト、アプトンと打線を組めば、強力打線が完成する。投手陣はいまひとつで、先発ローテに入りやすい。

 USA TODAY紙のボブ・ナイチンゲール記者は「驚きの選択だ。しかし、ロサンゼルスでドジャースの陰に隠れていたチームが、大谷の加入でア・リーグ西地区で優勝争いのできるチームになった。ファンも球場に詰めかけるだろう」と歓迎した。

 「大谷はまだ未完成、ゆっくり時間をかけて完成させたい」という日本ハムの栗山監督の願望にも一致する。

 獲得合戦に敗れたレンジャーズの地元紙はショックを隠せず、「大谷はうちに来ない。さらに悪いことに同地区で今後6年戦う敵になった」と嘆いた。これは同地区のマリナーズにも同じことがいえる。

 大谷を「チキン」(臆病者)と呼んだニューヨーク・デーリー・ニューズは「日本のベーブ・ルースはエンゼルスと契約した」と事実を淡々と速報した。本命視されていたパドレスの地元紙は「大谷はパドレスでなくエンゼルスを選んだ。プレラーGMはコメントしなかった」と速報した。ショックで言葉を失ったようだった。