エンゼルス・大谷、メジャー成功可否は「100年ぶりの偉業」 ノルマはベーブ・ルースの「同一年2ケタ勝利&本塁打」

大谷の起用法に頭を悩ませるソーシア監督(左)とエプラーGM(右)。ノルマはベーブ・ルースの1918年の成績だ(リョウ薮下撮影)

 ポスティングシステムで日本ハムから米大リーグ・エンゼルスへの移籍を決めた大谷翔平投手(23)。来季在任19年目を迎える名指揮官、マイク・ソーシア監督(59)は「当然二刀流として起用する。それは間違いない」と断言しているが、成功させるのは簡単ではない。二刀流の合格点として、米メディアは、2桁勝利、2桁本塁打程度の成績の維持を挙げているが、この数字に到達したのは100年前に13勝、11本塁打を記録したベーブ・ルースただ1人。大谷の勝負は、ベーブ・ルースが最低ノルマで、これを超えることができるかどうかの勝負になる。

 大谷は9日(日本時間10日)、カリフォルニア州アナハイムのエンゼルスタジアムでテレビカメラ20台、報道陣250人、ファン1000人超を前に入団会見を行い、背番号「17」の新ユニホーム姿を披露した。真っ赤なユニホームに袖を通して野球の本場、米国のファンやマスコミに向け、高らかに宣言した。

 「(初勝利と初本塁打は)どちらも楽しみにしていますし、最高なのはどちらも一緒の試合にできることだと思います」

 マイク・ソーシア監督(59)は、二刀流での起用を約束。来季、同球団で19年目を迎えるメジャー屈指の知将は断言。大谷獲得の立役者、ビリー・エプラーGM(42)は「彼を外野で起用することはない。先発ローテーションは6人で考えている」と日本ハム時代と同様にDHでの起用が二刀流の前提だとして、中5日以上の登板間隔を大谷に与えていく方針だ。

 「まだ発展途上。プレーしながら力をつけていきたい」という大谷の希望に添った起用法といえ、このあたりが最終的に大谷がエンゼルスを選んだ理由とも考えられる。

 米スポーツブログの「ハロス・ヘブン」は、「大谷とエンゼルスの面談当日、マイク・トラウト外野手がビデオ電話で大谷に、『エンゼルスのファンは君のプライバシーを守りつつ、選手として尊敬するだろう』と話しかけ、大谷が笑顔になった」と報じており、これが駄目押しだったようだ。

 打線では、最近2年間は体調が悪く、DHが多かった主砲のアルバート・プホルス内野手(37)だが、来季は健康な状態に戻ることが期待されており、エプラーGMも「(プホルスは)一塁の守備について前向きに考えてくれている」と、プホルスが一塁を守ることで、大谷がDHに入ることは支障はないとしている。

 投手陣では、今季、エンゼルスには故障がちの先発投手が多く200イニング以上投げた投手は不在だ。10勝以上したのは、JC・ラミレス(29)が11勝10敗、防御率4・15。ついでパーカー・ブリッドウェル(26)の10勝3敗、3・64の両投手にとどまる。

 15年に15勝したギャレット・リチャーズ投手(29)は前年からの右肘の故障に泣いて2年連続で6試合の登板にとどまるなど今季0勝2敗。ただ、18年は比較的健康な状態で試合に臨めると期待されている。

 つまり、先発後、なるべく回復のための休養日が欲しいのは大谷だけではないため、エンゼルスは他球団より負担の少ない6人ローテを組みやすい環境にあるといえる。

 これを受けて米スポーツ専門局「ESPN」は大谷の日本ハム時代の起用を参考に投手、DHとしての先発ローテーションを予想した。

 1日目先発、2日目休養、3日目DH、4日目DH、5日目DH、6日目休養、7日目先発。

 ESPNは「リチャーズと大谷で年間50回先発できればチームは90勝できる。今季世界一になったアストロズとは実力差があり、地区優勝は難しいがワイルドカードでのポストシーズン出場は可能だ」とした。

 大リーグ評論家で夕刊フジコラムニストの福島良一氏(61)は二刀流の成否には明確なラインがあるとする。

 「何よりも、ベーブ・ルースがレッドソックス時代の1918年に達成して以来、誰ひとり到達していない“2ケタ勝利&2ケタ本塁打”。これを100年ぶりにマークするかどうかで、成功か失敗かを判断されると思います。米国のファンが注目している部分でもあります」

 ルースは1918年に投手として20試合13勝7敗、防御率2・22。打者として打率・300、11本塁打、66打点の成績を残した。

 「メジャー1年目に達成するのは大変だとは思いますが、どちらかといえば、本塁打の方がハードルは低いと見ます」とは福島氏の見立て。

 「というのは、メジャーの公式戦は162試合。年間を通して先発ローテを守れば30試合以上の登板が見込めますが、通常のメジャー方式より1人多い6人制ローテの場合、単純計算で27試合が限度。2ケタ勝利の確率は低くなります」と登板機会が限られる分、勝ち星は伸びにくいと予想した。

 ただ、10勝、10本塁打を達成したからといって、メジャーのファンが納得するかどうかという疑問もある。米メディアは「2桁勝利、本塁打は最低線。できなければ投手に専念させるべきだ」との論調。日本で未完成だった二刀流を野球の本場で完全な形に仕上げられるだろうか。