羽生、絶対王者の経済効果で「平昌」救世主に 90万円のツアー完売、不人気五輪もフィギュアは“別腹”

羽生は“ぶっつけ”の五輪で結果を出せるか

 フィギュアスケートの平昌冬季五輪代表最終選考会を兼ねた「全日本選手権」最終日が24日、東京都調布市・武蔵野の森総合スポーツプラザで行われ、けがで欠場した男子シングルの羽生結弦(23)=ANA=も2014年ソチ五輪金メダル、現世界ランキング1位などの実績を考慮され代表に選出された。故障の回復が五輪本番に間に合うのか心配されているが、人気は依然絶大。莫大な経済効果をもたらす絶対王者は、出足不人気な同五輪の救世主となりそうだ。(飯田絵美)

 「ゆづー!」

 「キャー!」

 全日本選手権終了後の平昌五輪代表発表で、その場にいない羽生の名前が呼ばれると、悲鳴にも似たファンの大歓声が沸き起こった。不本意な形ではあるが、羽生は男子で66年ぶりとなる五輪連覇へ挑戦権を手にした。

 11月9日、NHK杯(大阪)の公式練習中に着氷した際、右足関節外側靱帯(じんたい)を損傷。周囲にも“結弦ショック”が広がった。

 たとえば、フィギュアスケートでは選手の演技後、観客席からアイスリンクに花を投げ入れるファンが多いが、花束がバラバラになったり、花びらが飛び散ると競技進行の妨げになる。そこで投げ入れ用の花は、会場内で厳重に包装された指定の物を購入することになっている。

 25年前から国内の主要大会に花を納入している「宮田花店」(東京都文京区)は、バラやカーネーションのブーケを3000円、1本用を500円で販売している。

 同店の宮田三雄代表(45)は「開催直前に羽生選手の欠場が決まった影響で、NHK杯の会場はすごく静かでした。ケガのショックで会場を離れるファンも多く、花は売れませんでしたね」と証言。通常は約1500本が完売するが、半分が売れ残ったという。

 今季日本で羽生の出場が見込まれていたのは3大会。NHK杯、「GPファイナル」(12月7-9日=名古屋)、そしてこの全日本選手権だが、結局全て欠場した。

 「GPファイナル」は〈女子ショート、男子フリー〉(12月8日放送)のテレビ平均視聴率が14・4%。羽生が4連覇を決めた昨年の同大会〈フリー〉(2016年12月11日)の17・6%に比べ大幅にダウンした。

 グッズ販売にも影響を与えた。各大会のパンフレットは2000円前後。自分用、保存用、友人へのプレゼント用など1人で3冊以上買う人も少なくない。売り場に長蛇の列をなすのが常だが、GPファイナルの会場では列も短め。逆に試合後、「大会の記念にパンフレット、いかがですか?」とスタッフが連日声をからしていた。

 全日本選手権のグッズ売り場には、羽生を輩出した仙台市の「アイスリンク仙台」も出店したが、「いつもの3割を下回る売り上げです」とスタッフは肩を落とした。

 「きちんとけがを治してほしいから、欠場は仕方がないです」

 「一番辛いのは本人。負けず嫌いのアスリート魂で復活してほしい」

 本人を思いやるファンが大半。それでも、練習拠点はカナダ・トロントとあって、ファンが“ナマゆづ”を目にできる国内大会がすべて欠場となった衝撃は大きい。

 こうなったら、ファンが羽生を見るにはもう、平昌五輪へ乗り込むしかない。というワケで、平昌五輪指定旅行代理店のJTBが、男子フィギュアの観戦券付きパッケージツアーを第1弾~第3弾に分けて販売すると、すべて完売。

 特に羽生のけが以降に発売された「第3弾観戦ツアー第2次販売」分は、【3泊4日、飛行機はエコノミークラス利用で90万8000円(チケットはAカテゴリー)】など高額商品ながら抽選申し込み初日の11月30日に申し込みが殺到。即日完売した(購入者数は非公開)。

 盛り上がりにいまひとつ欠けていた平昌五輪。チケット販売の不振が明らかになっているが、羽生が出るフィギュアスケートだけは“別腹”。

 羽生は来年1月の四大陸選手権(台北)も欠場し“ぶっつけ”で五輪に臨む見通しだが、とりあえず代表入りに周囲は胸をなでおろしている。