【藪から棒球】こだわりを捨て生き残った阪神・藤川 野球人生の岐路に立つ「松坂世代」

もしクローザーにこだわっていたら、今季の藤川復活はなかったかもしれない

 一時代を彩った「松坂世代」のベテランたちが、野球人生の岐路に立たされています。

 阪神には藤川球児投手(37)が在籍。かつては投げるポジションやイニング数に相当なこだわりを持っていましたが、今は敗戦処理もいとわない姿勢。実績のある選手はプライドが邪魔をすることがありますが、これも生き残る術といえるでしょう。

 巨人で今季118試合に出場しながら、戦力外通告を受け退団した村田修一内野手はいまだ来季の所属先が決まっていません。

 彼の心境を考えれば、プライドもあるでしょうが、自らアクションを起こさないと次はありません。野球をやれるチャンスがあるなら、きっちりと頭を下げに行くこと。その上で優先事項を明確に提示すること。残り135本となった通算2000安打なら『これだけは達成させてくれ!』と強く訴えればいい。ただ、あくまで獲ってもらうことが最優先です。

 彼の世代の中心に立つ松坂大輔投手(37)もソフトバンクを退団。西武時代から師弟関係にあった森繁和監督、友利結国際渉外担当が在籍する中日が来年1月に入団テストを行うと発表しましたが、実戦で投げられるか否か不透明です。横浜高時代に春夏連覇を達成し、プロでもあれだけ活躍した選手となれば、引き際の決断も大事になります。

 私自身は“野茂世代”。海の向こうで2度のノーヒットノーランを達成した野茂英雄に続いて、長谷川滋利、木田優夫らが海を渡り活躍する姿を見て、私も大リーグ挑戦を決断しました。全員が一堂に会して交流することはありませんが、やっぱり「負けたくない」「追いつき追い越せ」の精神で互いに切磋琢磨したから、長い期間プレーできた。同級生とは、そんな不思議な力を与えてくれるものです。

 ■藪恵壹(やぶ・けいいち) 1968年9月28日生まれ、三重県出身。和歌山・新宮高校から東京経済大、朝日生命を経て93年ドラフトで1位指名され阪神入り。94年に新人王を獲得。エースとして2003年のリーグ優勝に貢献。05年にアスレチックスへ移籍、ロッキーズ、ジャイアンツなどでプレー。10年7月に楽天入り、同年限りで現役引退。11-13年は阪神投手コーチ。現在は野球評論家。