貴乃花親方、理事会の処分拒絶で法廷闘争も 角界関係者「理事長職あきらめるはずない」

角界にはびこる問題の「根の深さ」を強調する貴乃花親方(写真)。八角理事長率いる協会との対立は深刻化する一方だ

 元横綱日馬富士(33)による十両貴ノ岩(27)への暴行事件で、日本相撲協会は28日、両国国技館で臨時理事会を開き、巡業部長としての報告義務を怠ったとして貴乃花親方(45)の理事解任を決議。来年1月4日の臨時評議員会に諮り、正式決定する。貴乃花親方は一貫して正当性を強調しており、処分を拒否して法的措置を含む徹底抗戦に出る構えも。相撲界の「なれ合い排除」に向けた対協会、そして対モンゴルの闘争は越年確実だ。

 鳥取地検は28日に傷害罪で日馬富士を略式起訴した。

 捜査の一区切りと並行して協会の理事会と評議員会でも、ただ1人先送りされていた貴乃花親方の処分が議論の対象となった。

 理事会は、貴乃花親方が巡業部長の立場でありながら、暴行について報告しなかったことや、危機管理委員会の調査協力を何度も拒否したことを問題視。ただ、「理事解任(降格)」や、協会事業への参加を禁じる「業務停止」などの厳罰を求める声と、「報酬減額」や「けん責」にとどめるべきだとの声が交錯していた。

 27日発売の週刊文春で貴乃花親方は、《相撲協会は私の責任を問うかたちにもっていきたいのでしょうけども、それはかまいません》と心情を語っている。

 一方で自らの行動の正当性について、独自の文書や聴取の席で主張しており、危機管理委関係者は「処分は受け入れないだろう。自分は間違ったことをしていないと言うのだから」との見方を示す。

 今回、協会は初の理事解任という重い処分案を出したが、来年2月には役員候補選挙が予定され、その先には理事長選も控えている。来年1月4日に開かれる評議員会で正式な処分が決議されるが、その前に予想されるのが法廷闘争だ。

 弁護士の高橋裕樹氏は「貴乃花親方は来年の理事選までに、地位保全を求めた仮処分の申し立てを行うことが考えられる。これが地裁で認められれば理事職にとどまることができる」と話す。

 貴乃花親方が強硬な姿勢を貫く背景に何があるのか。文春での激白では《『親である師匠にも言いにくいことが起きたのか』と、背景にある根の深さを感じ、警察に全容解明を委ねたのです》とも語っている。

 この一文に目を通した角界関係者は「貴乃花親方が訴えたかったのは『背景にある根の深さ』という一点に尽きる」と断言する。

 今回の暴行事件をきっかけに、モンゴル出身力士間の“なれ合い”の疑惑が浮上した。中でも貴乃花親方が厳しい目を向けているのが横綱白鵬(32)だという。

 横綱審議委員会の前委員長で千葉大名誉教授の守屋秀繁氏は白鵬について「横綱になったときはすごくいい相撲をしていた。でもここ3、4年はダメ押しやカチ上げをするので横綱としてふさわしくないと議論になっていた」と振り返る。

 角界関係者も「正々堂々さに欠け、礼儀や品格など、どれをとっても貴乃花親方が理想とする『相撲道』とかけ離れており、正していきたいと思っているはずだ」と話す。

 さらに貴乃花親方を処分しても問題は解決しないと守屋氏はみる。「日本人の新弟子が少なくなったから、日本語の全く分からない若者を海外から連れてくればいい、という相撲協会の体質に問題がある。貴乃花親方は、日本人の子供も入門しやすくなるようなシステムを作ったらどうかと考えているのではないか」

 前出の角界関係者は「信念を通す貴乃花親方が、年が明けてもあきらめるはずはない。いずれは理事長に就任して新しい相撲界を作っていこうと考えているに違いない」との見方を示す。

 協会元外部委員で漫画家のやくみつる氏も「白鵬のような力士を指導できるのは、現役時代に実績を残した貴乃花親方しかいない。理事長を目指して地位を固めてくるはずだ」と指摘する。

 組織固めも進んでいるようだ。錣山(しころやま)親方(元関脇寺尾、54)、湊親方(元幕内湊富士、49)、立田川親方(元小結豊真将、36)の3人が時津風一門から離脱したが、前出の関係者はこう明言した。

 「錣山親方は、貴乃花一門への合流が前提ではないなどと説明したが、初場所後の理事選は貴乃花親方に票を入れる。そうでなければ一門を出た意味がない」

 “貴の乱”は周囲を巻き込んで拡大しそうだ。