【メジャーの旅】44歳で終わった年齢の壁 イチローは“世界の盗塁王”をどこまで超えるか

44歳のイチローにメジャーでプレーする機会は訪れるか

 まだメジャー球団からオファーがなく、日本球界復帰の可能性を報じられたイチロー外野手(44)。“50歳現役”を目指す生きざまを見ていると、ある往年のスーパースターを思い出す。殿堂入り選手のリッキー・ヘンダーソンだ。

 1979年にアスレチックス入りし1番打者として活躍。91年にルー・ブロック(カージナルス)が持つ通算938盗塁の大リーグ記録を更新。93年には福本豊(阪急)の1065盗塁の“世界記録”を抜いた。

 2001年には最大の目標であった“球聖”タイ・カッブ(タイガース)の通算2246得点の大リーグ記録を更新し、史上25人目の通算3000安打も達成。それでも、幾つものチームを渡り歩きながら限界に挑戦し続けた。

 03年はシーズン開幕しても所属先が決まらず、米独立リーグでプレー。7月にようやくドジャースと契約を結ぶも、30試合で打率・208、わずか15安打、3盗塁しか残せず。44歳と寄る年波に勝てず戦力外通告を言い渡された。

 それでもメジャー復帰を目指し、04年に再び独立リーグでプレー。91試合に出場し、驚異の出塁率・462、37盗塁をマーク。05年も73試合で16盗塁と健在ぶりを示したが、どの球団からもオファーがなく、最高峰の舞台が遠のいた。

 されど野球を諦め切れず、06年にはメッツで打撃コーチをしながら現役復帰のチャンスをうかがった。しかし、独立リーグ以外からは声が掛からず、1年間休むことを選択。47歳になっても現役にこだわり、決して「引退」という言葉を口にしなかった。

 07年に古巣アスレチックスのビリー・ビーンGMが彼の偉大な業績をたたえて1日契約を提案したが、「俺は毎日プレーしたいんだ」と一蹴。やがて、09年に有資格1年目で殿堂入り。そのときも50歳で現役復帰の意欲を見せていたが、夢はかなわなかった。

 こうして、世界の盗塁王ヘンダーソンが挑み続けながら最高峰の舞台では44歳で終わってしまった年齢の壁を、現在同じ44歳のイチローがどこまで超えていけるのか。メジャーでの挑戦を見続けたい。(大リーグ評論家・福島良一)