《zak女の雄叫び お題は「輪」》テロ警戒強まる平昌、東京五輪は大丈夫?

2020年東京五輪・パラリンピックに向け、警視庁は大会期間中に無差別殺傷事件が起きたと想定した初動対応訓練を東京・浅草の路上で行った。女性を人質にとった容疑者役を追い詰める機動捜査隊員ら=2017年7月20日、東京都台東区雷門(川口良介撮影)

 9日に開幕する平昌冬季五輪に向け、テロへの警戒が強まっている。ミュンヘン五輪(1972年)では選手村が襲撃され、多数の死傷者が出たほか、アトランタ五輪(1996年)の大会期間中にはコンサート会場で爆破事件が発生するなど、五輪は過去にも凶悪なテロの標的となってきた。平昌では開幕を目前に、複数の五輪関連組織に不正なメールが送られていたことが発覚するなど、サイバーテロへの懸念も広がっている。

 翻って、2020年に五輪開催を控えた東京のテロ対策はどこまで進んでいるのだろうか。一例ではあるが、昨年行われた警視庁のテロ対策訓練を振り返って検証してみた。

 まず、一般市民を標的にしたテロ対策はどうか。

 近年ヨーロッパなどでは、観光地などでテロリストが車に乗り込み、そのまま人込みに突っ込む無差別殺傷事件が多発している。警視庁などは昨年7月、東京・浅草の観光地で、東京五輪を想定した過去最大規模の訓練を実施。テロリストが車で群衆に突っ込んだ後、拳銃を発砲してビルに立てこもる-という最悪の想定で、現場に居合わせた外国人観光客らも見守る中、本番さながらの訓練が行われた。犯行現場に鑑識課員も出動し、現場検証まで行う徹底ぶりだった。

 同年11月のトランプ米大統領訪日では、こうした「車両突入型テロ」を警戒して機動隊の車両で道路を封鎖。細やかな検問で不審車両の侵入を防ぐなど、五輪を見据えた大型警備の“試金石”をひとまずクリアした格好だ。

 選手を標的にしたテロへの対策も進められている。

 昨年10月には、代表選手の強化拠点となっている「味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)」を舞台に訓練が行われた。機関銃で武装したテロリストが施設に侵入し、選手らを人質にとったという想定で、警視庁の緊急時初動対応部隊(エマージェンシー・レスポンス・チーム=ERT)が登場。ERTは同庁の銃器対策部隊から、さらに優秀な人材を選抜した精鋭部隊で、重武装のテロリストが次々と襲撃を繰り返す「移動型」の多発テロへの初動対応が可能だ。

 サイバー空間では、民間と連携した情報共有や訓練も行われている。

 昨年のリオデジャネイロ五輪では、公式サイトが2000万回以上のサイバー攻撃を受け、競技団体のサイトが改竄(かいざん)されるなどの被害があった。こうした状況を受けて、警視庁が昨年10月、大会の公式パートナー企業49社と組織委員会関係者を巻き込んで開催した訓練では、参加者が実際にパソコンを使い、大量のデータを送りつける「DoS攻撃」や、特定のウェブサイトに不正なプログラムを仕込む手口など、想定されるサイバー攻撃を被害者側と加害者側に分かれて体験した。

 同様の訓練は交通機関や電力、情報通信などのインフラ事業者との間でも行われている。

 東京五輪まであと2年半。準備不足が指摘されている平昌五輪同様、時間が十分あるとは言い難い。いつテロの標的になるかもしれないという心構えは、私たち市民にも必要だ。(い)

 【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。2月のお題は「輪」です。