【プロキャディーXのつぶやき】日本男子ツアーの低迷、客を呼ぶ「大物役者」選手会長・遼クンの奮闘に期待

ギャラリーの声援に応える石川遼(共同)

 プロとアマチュアの違いは何か? 新年会の二次会は、その話で盛り上がった。

 「プロはアマが到底できない技を持っていること」と切り出した友人に、仲間内から先生と呼ばれている博識の先輩キャディーがこんな話を始めた。

 「プロのレーシングドライバーから聞いたことがあるけれど、デビュー当時は成績を出すことだけに必死だったそうだ。とにかく順位を一つでも上げたい。とあるレースで有名ドライバーを抜いてベスト3に入ったら、表彰式後にその有名ドライバーから電話が掛かってきた。『どうして、あのカーブで追い越していったんだ』と」

 話に聞き入っていた俺は、考えてもその理由が思いつかない。「後輩への嫌がらせですか?」と先生に尋ねた。

 「それは違う。『観客が最も少ない所で抜いてもレースが盛り上がらないだろ。今度はメーンスタンド前で抜け』と言われたそうだ。後輩への変化球的な祝辞だったろうし、単に高等テクニックで順位を上げるだけでなく、ギャラリーを喜ばせることも考えろというアドバイスだったそうだ」

 なるほど。観客を喜ばせるのがプロの本業なのだ。

 米ツアーのファーマーズインシュランスオープン最終日で、松山英樹クンとタイガー・ウッズが、裏街道のインスタートながら同組でラウンドした。成績は松山クンがこの日のベストスコアタイとなる69で回り12位タイ。889日ぶりに予選通過を果たしたタイガーは72で23位。それでも多くのギャラリーを引き連れてのラウンドで、タイガーは大会4日間オーバーパーを打たずに試合を終えたのだ。

 大物役者のタイガーは、やっぱり心得ている。ファンの期待を一身に集め、しかも「最終日65で回ればプレーオフに残れるかもしれない」と思ってティーオフしたという。タイガーに負けず好プレーを展開した松山クンも、やっぱり大物役者と言っていいのではないだろうか。

 日本男子ツアーは低迷と言われ続けている。それは「大物役者」がいないからだ。役者を育てるのは観客でもあるから、ニワトリと卵になってしまうけれど…。今季は選手会長に就任した石川遼クンが大物役者ぶりを発揮してくれることを祈るばかりだ。