八角理事長の“貴外し”、理事選の戦後処理で組織引き締めへ 「研修ウイーク」開催で体質変化あるか

理事長再選が確実になった八角親方(写真)。落選した“宿敵”貴乃花親方をどう処遇するのか

 日本相撲協会の理事選(2日)で“改革派”の貴乃花親方(45)=元横綱=が落選したことで、3月の春場所後に新理事の互選で行われる理事長選は、八角理事長(54)=元横綱北勝海=の再選が確実な情勢だ。新体制では貴乃花親方とその一派が執行部から遠ざけられ、閑職に追いやられるとの観測もある。さらに八角理事長は13日から16日までを『研修ウイーク』と称し、全力士、親方、行司の全協会員を招集し研修会を実施。組織の引き締めを図り、八角体制を強固なものにする構えだ。不祥事連発で隠蔽体質の角界が、これで変わることはできるだろうか。

 貴乃花親方が訴えてきた「自由に意見を交わせる風土」とは、真逆の方向に進むことにならなければいいのだが…。

 相撲協会初の「研修ウイーク」は、13日の十両以上の関取を皮切りに、行司、呼出、若者頭、世話人、床山を個別に分けて行う。

 最初のテーマは「誓約書について」。日本相撲協会は2014年、公益財団法人への移行をきっかけに組織改革が行われた。もともとは各部屋に高い独立性があり、力士の管理責任は各部屋が持っていたが、新しい組織では、協会が各部屋の師匠と人材育成業務委託契約を締結。全力士は協会に直接雇用される形になり、協会のルールに従う誓約書の提出を義務づけられた。

 実はこの「誓約書」は、貴乃花部屋だけは長らく提出せず、昨年の九州場所後になって、ようやく提出した経緯がある。従来の部屋の師弟関係を重視していた貴乃花親方が抵抗していた案件だが、八角理事長らは今後、「誓約書」をテコに全協会員に対し執行部の方針に従うよう引き締めを図ることになる。

 さらに、16日には親方衆を対象に「暴力等不法行為の根絶と弟子の育成」、全力士には「自らの行動や言動を正し、強くなるためには」をテーマに講義が行われる。

 しかし、八角体制下で研修は単発で何度か行われてきたが、どれもこれも効果があったとは言い難い。むしろ研修会をやればやるほど、新たな不祥事が発覚する印象すらある。

 九州場所後の昨年11月30日には、八角理事長が元日馬富士の暴行問題を受けて全関取を前に「講話」を実施。ところが、わざわざ集めたにも関わらず、たった15分で終了。直後の巡業では、講話のメンバーから外れていた立行司・式守伊之助のセクハラ問題が発覚したのだった。

 同12月21日には「暴力問題の再発防止について」と題した研修会を、力士だけではなく全協会員を対象に実施したが、講師は評議員会の池坊保子議長(元文部科学副大臣)ら“身内”の3人だった。

 すると、今度は十両大砂嵐が無免許運転の上、衝突事故を起こしたとして警察の取り調べを受けていたことが発覚するありさま。今のところ笛吹けど踊らずで、効果は発揮されていない。この手の研修会は、あまり角界の自浄作用にはつながらず、八角体制の存続のアピールの要素が強い。

 また、3月に八角理事長が理事長選で再選された場合、その後の最初の仕事は、4月からの親方衆の担当替えとなる。

 暴行問題で協会への報告義務を怠ったなどとして年明けに『理事』から『役員待遇委員』へ2階級降格処分を受けた貴乃花親方は、理事選落選でさらに1階級下の“ヒラ”の『委員』に降格される見通し。もちろん、理事の役職である巡業部長のような重要ポストは与えられない。場所中朝から取組のビデオ判定などが業務となる監察委員や、入場口のチケットもぎり(木戸番)などに就き、冷遇される可能性がある。

 貴乃花親方は部屋のホームページに「相撲協会全体の器量を大きくし、大相撲一門として自由に意見を交わせる風土を作り上げることを私の目標といたしたいと思います」と記したが、今後の角界には重苦しいムードが漂いそう。相撲協会が体質を変えるのは簡単ではない。