【平昌取材日記 零下20度の街から】微妙な空気も…近くて遠過ぎる国で出会ったほほえみを忘れない

風にはためく五輪旗(共同)

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 友人の戸惑った顔が忘れられない。私が平昌五輪の担当記者になったと報告した半年前のこと。「え、ピョンチャン? ぴょん…ちゃん…?」彼女は、手をウサギの耳のように頭上にあてたのだ。そんな町にいま、私はいる。

 5日午前9時に自宅を出発し、成田空港から韓国の仁川空港へ。そこから新特急「KTX」に乗り約3時間。世界各国の記者が宿泊する施設群、メディアビレッジ(記者村)へ到着したときには、すでに午後10時を回っていた。

 疲労と不安と重圧がのしかかった状況にもかかわらず、不思議とワクワクする気持ちを感じていた。それは、次々と出会う韓国人ボランティア、スタッフのおかげだ。

 日本との関係も、南北の歩み寄りも、微妙な空気が支配する中、“平和の祭典”はどんな大会になるのだろう。どんな展開になっても、空港でキョロキョロと周囲を見回した瞬間、目の前に駆けつけてくれた彼女のほほえみと、約40キロの重い荷物を特急列車に乗せてくれた青年のはにかんだ笑みを、私は決して忘れないだろう。近くて遠い国で、旅が始まった。(飯田絵美)