代役エースと言わせない! 宇野、団体男子SP1位 ハタチの転換点 洋画家の祖父の生き方なぞるように

チームジャパンの先陣を切った宇野(納冨康撮影)

 【平昌(韓国)9日=飯田絵美】フィギュアスケート団体の男子ショートプログラム(SP)で日本は宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=が103・25点を出して1位となった。最初のジャンプは乱れたが、その後は落ち着いて高得点をたたき出した。初出場ながら開幕直後の日本を勢いづける演技だった。

 故障明けの羽生結弦(23)=ANA=が団体出場を回避したための代役エースとは言わせない。冒頭の4回転フリップは手をついたが、4回転-3回転トウループのコンビネーション、最後のトリプルアクセル(3回転半)を完璧に決めた。ステップやスピンもきれがあり、演技終盤には笑顔もこぼれた。

 有力選手の相次ぐジャンプ失敗を目の当たりにしての最終滑走。他選手がミスを連発する中、2位に15点近い差をつける圧巻の演技だった。「五輪は特別な緊張感が湧いてくるかと思ったが、そうではなかった。正直、(五輪は)特別な感じはなかった。全日本選手権の方が緊張した」

 小林芳子監督(62)は宇野の団体の出場について、「本人の希望」と説明している。初の五輪で、流れを呼び込む大役に手を挙げたのは自信の表れだ。今シーズンはGPシリーズ第2戦「スケートカナダ」で圧巻の合計301・10点で優勝。平昌での練習も調子がいい。

 団体は男子SP、アイスダンスのショートダンス(SD)、女子SPの成績上位5チームがフリーに進む。

 試合前日は江陵アイスアリーナのサブリンクでSPの演技曲、ビバルディ「四季」の「冬」をかけてジャンプを次々と決めた。音楽を滑りで表現する芸術的な素養は、祖父の洋画家、藤雄さん(90)譲りだろう。

 愛知県犬山市在住の藤雄さんが画家として歩み始めたのも、同じ二十歳だった。欧州留学を経て、カンヌ国際展グランプリなど数々の賞を受けた。卒寿を迎えた今もパリやドバイで展覧会に出品。世界へ飛び出して自らの芸術を追求する志は、孫にも受け継がれている。

 藤雄さんは「絵でもスケートでも、芸術には『今この時代を背負っている』というものが表れる。それがないとダメだ」とエールを送る。