大谷がエンゼルスを選んだ本当のワケ 落選2球団の「二刀流プラン」詳細判明

大谷翔平 (AP)

 【グッドイヤー(米アリゾナ州)5日(日本時間6日)=片岡将】大谷翔平投手(23)のメジャー移籍では、各球団が激しい争奪戦を繰り広げたが、最終候補となったドジャース、カブスが提案した二刀流プランの詳細な中身が判明した。そこから大谷がエンゼルスを選んだ理由とこだわりがうかがえる。

 なぜ大谷はエンゼルスを選んだのか? メディアとファンが抱く、いまだに解けない疑問だ。

 大谷は「『なぜエンゼルスだったのか』より、『どうエンゼルスになじんでいくか』の方が大事」とはぐらかしたり、「直感のようなもの」と抽象的に答えたりして、明確にしていない。

 代理人のネズ・バレロ氏(55)は昨年11月の段階で「彼はユニークかつスペシャルな選手だ。メジャーでも投打でプレーする熱意を持っている。この熱意はチームとも共有したい」と二刀流として起用するプランのある球団を優先する考えを示していた。

 獲得を希望する球団に対し、全7項目の質問へ回答を要請。質問の中には「投手、打者としてのそれぞれの評価」や「(二刀流の)起用プラン」といった本気度をただす項目もあった。

 書類選考の結果、残ったのはエンゼルス、マリナーズ、ジャイアンツ、パドレス、レンジャーズ、ドジャース、カブスの7球団。そのうち、ドジャースとカブスが提案していたプランの中身が球団関係者への取材で判明した。

 書類選考を通過したドジャースが昨年12月上旬、ロサンゼルスで行われた大谷との直接交渉で提案したのは「外野手として先発し、7、8回にリリーフ登板」というものだった。

 ドジャースはエース左腕のクレイトン・カーショー投手(29)を筆頭に、昨季16勝のアレックス・ウッド投手(27)、2年連続2ケタ勝利の前田健太投手(29)ら実績のある5人による中4日の先発ローテーションが確立。特に大エースのカーショーの登板数を減らすことになる6人ローテの導入は、受け入れ難かったことが容易に想像できる。

 「ドジャースで二刀流をやるならこの形しかなかった」と球団関係者。しかし、大谷側は首を横に振った。「あくまで先発投手としてメジャーでやりたいという希望を持っているのだろう」と同関係者は推測する。

 一方、カブスの提案は「先発投手として中4日。登板日には打線の中軸を務め、登板間は代打で出場」というものだった。

 カブスは昨季エース級だったジェイク・アリエッタ投手(31)がFAで流出。計算できる先発を必要としていた事情がある。

 結果的に大谷を逃し、ダルビッシュ有投手(31)に狙いを切り替えて獲得に成功したが、エースとして期待していた大谷に本格的な二刀流を続けさせる余裕はなかったといえる。

 大谷側はこの提案も拒否。「打者としての先発出場に、こだわりがあるということだろう」とはカブス関係者の弁だ。

 そこで夕刊フジが、エンゼルスのマイク・ソーシア監督(59)に「先発投手でなく、DHで先発し終盤にリリーフで登板させる起用法を考えたことがありますか?」と聞くと、「ノー。検討したこともない」ときっぱり。あくまで先発ローテ投手としての起用しか考えていないとした。

 ビリー・エプラーGM(42)も「調査していた段階からスターターとして考えていた」。

 一口に二刀流といっても、描く形は球団の事情によって違う。大谷はあくまで投打で先発としての起用を望んでいることが、落選した2球団の提案から読み取れる。逆に、エンゼルスは大谷の要望に最も近い提案を出せたということになる。

 球団は二刀流の前提となる6人ローテーション制の整備に躍起になっているが、選手はというと、歓迎する意見もある一方で、エースのギャレット・リチャーズ投手(29)は「オレは中4日でも十分投げられる」と訴える。シーズンを通して中4日で先発する自信のある投手にとっては、登板機会を奪われることになる中5日の登板間隔に抱く思いは複雑だ。

 一方、チームの重鎮のアルバート・プホルス内野手(38)はここ数年、両足の故障に悩まされDHでの出場が主。

 今季からDHを大谷に明け渡して本格的に一塁の守備に復帰する。故障が癒えつつあるとはいえ、一塁とDHでの出場はどれくらいの割合になるのかは本人にとって気になるところで、USAトゥデー紙によると「誰もそれについて何も話してくれていない。全体的なプランがわからない」と困惑している。

 「チームが自分をどうしたいのか、注目していく」。人格者として知られるプホルスだが、大ベテランの扱いを誤ればチームにとって思わぬ火種になりかねない。