【貴騒動を斬る】世渡り下手の貴乃花親方、深まる孤立 9日理事会で再度処分も

一本気が裏目に出ているところがある 

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 貴乃花親方(45)=元横綱=は、ある意味で不遇だ。父親で師匠の元二子山親方(元大関貴ノ花)はすでに13年前の2005年5月30日、口腔底がんでこの世を去り、母親の藤田紀子さんや、たった1人の兄の花田虎上(まさる)さん=元横綱3代目若乃花、現タレント=とは絶縁状態なのだから。

 私は一連の“貴騒動”の最中、テレビ番組に引っ張り出され、紀子さんとも何回か一緒になった。そのときに紀子さんが貴乃花親方についてこう語ったことが強く印象に残った。

 「もう12年も会っていませんが、あの子のことはよくわかっています。いったんこうと思ったらわき目も振らず、損得の計算ができない。だから私とも疎遠になっているんです」

 確かに、貴乃花親方は世渡りが下手だ。一部のメディアを除いて、今日に至るまで今回の騒動についてノーコメントを押し通している。現役時代からそうだった。

 1998年秋に起こったいわゆる“洗脳騒動”のときも、説明すれば収まったのに、やはり徹底して無言を貫いたため、事態はもつれにもつれ、兄弟確執にまで発展した。今回も記者会見でも開いて自分の思いの一端を披歴していたら、理事解任という事態は避けられたかもしれない。

 もっとまずかったのは、理事選の前後になって一部のテレビや週刊誌の抜けがけ取材に応じたことだ。テレビ局が日本相撲協会の許可を得ずに放送したため、執行部は激怒。発言にブレーキが利かなかったため、2月16日に開かれた緊急年寄会では「協会と貴乃花親方の言い分のどっちが正しいのか」「ルールを守れない者は解雇すべきだ」と過激な発言まで飛びだしたという。

 ますます孤立を深める貴乃花親方。春場所直前の9日に開かれる理事会で、もう一度処分される恐れもある。

 ■大見信昭(おおみ・のぶあき) 1943年8月30日、鹿児島県生まれ、74歳。70年フジ新聞社(後に産経新聞社と合併)入社。大相撲を中心に取材歴50年に迫る。