18年目のイチローを待ち受ける古巣マリナーズの賛否 再びフィーバーかそれとも…地元紙「若手を抜擢しないでどうする」

6年ぶりにマリナーズに復帰するイチロー

 【ピオリア(米アリゾナ州)6日(日本時間7日)=片岡将】米大リーグ・マリナーズへの復帰が決まったイチロー外野手(44)はワシントン州シアトルでのメディカルチェックをパスし、7日(同8日)にもピオリア入りする。メジャー通算3080安打を記録しているレジェンドに地元シアトルのファンも大興奮だ。ただ、一方では全盛期の輝きを失ったベテランに対し、「若手が活躍する機会を奪う」などとする地元メディアの批判もある。メジャー18年目のシーズンは一筋縄ではいかない状況だ。 

 日本と米球界を駆け巡った前日の復帰報道から一夜。マリナーズがキャンプを張るピオリア・スポーツ・コンプレックスには、早朝からイチローの球場入りをとらえようとテレビカメラ6台、日米の報道陣30人とファンが集結した。

 この日は入団発表は行われず、7日(同8日)以降となる模様だが、すでにクラブハウス入り口付近のロッカーには「ICHIRO」のネームと背番号「51」が入ったユニホームが掛けられて準備万端。

 荷物が詰まった段ボール箱も6つ積み上げられており、主の到着を待っている。数々の安打記録を打ち立てた大スターの復帰に期待感が漂っている。

 ただ、6年の時が流れたのも事実だ。

 メジャーリーグのクラブハウスは、配置に選手の序列が表れる。実績のあるベテランは2つ分のロッカーを使うことが許され、出入り口の両脇や角の位置がチームの主力や看板選手に与えられる。

 イチローのロッカーは出入り口の正面。マリナーズからヤンキースにトレード移籍した2012年までは入り口の左側を与えられていた。地元メディア関係者は「ロッカーが2つ分なのは大ベテランへの敬意の表れだが、位置はマイナーの招待選手が座るところ。いいとはいえない」と声を潜める。

 数年前にリフォームされたため、12年当時とは形状も異なるが、現在のロビンソン・カノ内野手(35)やネルソン・クルーズ外野手(37)、フェリックス・ヘルナンデス投手(31)が入り口付近や角を占めている。

 マリナーズがイチローを必要としたのは、故障者が続出したからだ。

 右翼のミッチ・ハニガー(27)は右手を痛め、1週間から10日間の離脱。昨季123試合に出場したギジェルモ・ヘレディア(27)は昨年10月に右肩の手術を受け、回復途上。さらに、左翼のベン・ギャメルがオープン戦に入って右脇腹を負傷して1カ月超の離脱と災難続き。レギュラークラスで無事なのはマーリンズからトレードで加入し、二塁から中堅にコンバートされたディー・ゴードン(29)のみ。

 マーリンズ時代にはイチローを師と仰ぎ、慕っていたゴードンは「彼のユニホームが同じクラブハウスある。こんなにうれしいことはないよ。一緒に守るのが今から楽しみだ」と喜びを隠さないが、どれだけイチローに出場機会があるか。

 イチローの契約はメジャー最低年俸の54万5000ドル(約5700万円)の1年契約プラス出来高払いとなる見込み。最高時は20億円を超えていたが、今季は、あくまでもバックアップ扱いからのスタートだ。

 イチローの復帰には様々な意見がある。

 地元紙「シアトル・タイムズ」は5日からウェブ上で「イチローの復帰はマリナーズの助けになりますか?」とアンケートを実施中。寄せられたコメントの多くは喜びと歓迎に満ちているが、中には「ノー。最悪の考え。若手を抜擢しないでどうする」と球団への批判的な意見もある。

 地元ラジオ局「ESPNシアトル」のジム・ムーア氏は自身の「私がなぜイチローをマリナーズで見たくないか」と題したコラムでもっと辛辣な意見をつづった。

 「まず、けが人が多いのなら、チーム内のルートで若手を登用してカバーすべき。さらに、FAの選手を獲るにしてもカルロス・ゴンザレスやメルキー・カブレラといった、今のイチロー以上の選手がいるではないか。イチロー以外でお願いしたい」

 同氏によるとイチローの復帰を楽しみにしている地元ファンは65%程度、35%は批判的だったという。

 賛否渦巻く中で迎えるメジャー18年目。最もチャレンジングなシーズンが始まろうとしている。