“新潟県高野連の乱”はなぜ起きたのか 地方大会も過密日程 「部員が9人なら9人が投げられる練習をしたらいい」

昨夏の甲子園では、金足農が吉田の6試合881球の熱投で旋風を巻き起こしたが…

★富樫信浩会長 夕刊フジ独占インタビュー(下)

 今春の新潟県大会で投手に1日100球の球数制限を導入する独自方針を決め、物議を醸している同県高野連の富樫信浩会長(58)への単独インタビュー後編。これにとどまらず、上部組織の日本高野連へ問題提起を続けていく構えだ。(聞き手・片岡将)

 --新潟県高野連が声を上げ、日本高野連は「投手の障害予防に関する有識者会議」を4月に発足させることを決めた。1年後に答申を得るというが、なんともスピード感がない

 「1年という期限を日本高野連が切ったのは、ずいぶん思い切ったことです。ただ、1年という期限を区切った真意はどこにあるのか。単に『球数制限は来年からは導入しません』という結論ありきでは困る。われわれも組織の中で生きている。『言うことは聞けや』と言われれば、そりゃ聞きますが、ある程度くみ取ってもらわないと」

 --球数制限を導入しないのであれば、代わりの方法が提案されるべき

 「そうです。いろんな視点があってしかるべき。例えば、今年の夏の甲子園では決勝前に1日の休みを入れることが決まったが、これで恩恵を受けるのは2チームだけ。もっと底辺のところがすでに過密日程なんです。甲子園も過密だけど、地方大会の時点で選手に負担が大きくなっている。そうしたことも考えていったときに、春の県大会をなくすことや、リーグ戦の導入という可能性を最初から否定してしまうと、何も変えられない」

 --新潟県高野連も、甲子園につながる夏の県大会への球数制限導入はしない方針

 「夏は甲子園に進む選手権。勝ったチームが行くわけですから、そこで壊してしまうといけない。そのためにも春の県大会の使い方とか、複数投手を奨励していく。(球数制限がなければ弱小チームも)すごい投手が1人いれば勝てると言うが、それはまれな例です。多くの場合、複数投手のチームが勝っているわけです」

 --複数投手が必要となると、部員数が少なく野球による推薦入学を行っていない公立高などは、ますます勝てる可能性が低くなるのでは

 「そうではない。(部員が)9人しかいなければ、9人に投げさせられるような練習をしてみたらいい。可能性はあるんです。固定観念でやってしまうのがおかしい。いろんな可能性を探るのが指導者だし、連盟がその環境を作るべきなんです。だから取り組めることのひとつとして、春季大会で球数制限を導入してデータサンプルも全部出しますと言っている。これは決意というか覚悟です」

 --選手の可能性を広げる意味もある

 「勝つことだけじゃなくて、指導者が知らなかった選手の一面も見えてくるでしょう。気づく機会を与えられる。春の大会はそれをする格好の場だと思ってるんですけどね。規則として作るのがいいのかはともかく、選手の可能性を探る方向性作りをするのが、われわれ連盟の使命じゃないかと考えているわけです」

 =おわり