【ぴいぷる】女子バレー・中田久美監督「86年の大けがで私の現役人生は終わっていた」 自分を一番成長させてくれた“葛藤” (2/3ページ)
「このとき、『このままじゃダメだな』と迷っていた自分の背中を父に押してもらった気がしました。人生を賭けてきたバレーボールにより磨きをかけ、次世代につなげる生き方もありなのかな、と」
決断後の動きは早かった。イタリアで2年間、指導者の修業をし、帰国後は久光製薬監督としてタイトルを総なめにする。その過程で日本人の特性を再認識した。
「日本人って間違いなく『侍の血』が流れている。それはイタリア人にはないところ。遠慮がちで控えめ、思慮深く、潔い。そういう民族なんです。『身を挺してでも人を生かす』『チームワークを大事にする』といった日本人の武器で戦うことがすごく大事なんですよ」
■集中力が重要!
一方で外国人視点も重視するのが中田流。トルコ女子前代表監督のフェルハト・アクバシュ氏を招聘。2時間ぶっ続けでボールを床に落とさずつなげるという練習も取り入れた。
「英語で指示を聞きながら、周りを見てプレーを続けなければいけない。失敗すればノルマがどんどん増えていく。そうなったら自分との戦い。まさに集中力の勝負です。日本人はそれが一番得意だったのに、今は欠落している。その現実を突き付けられました。データに基づいて人を動かすのも大事だけど、自主的に相手と駆け引きしたり、技術を突き詰めていくことはもっと重要。外国の2メートル級の選手がその力をつけ始めている今だからこそ、日本人の武器に立ち返らないといけないんです」