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【一番近くで見た 西武ライオンズ40年】「打倒日本ハム」で宿敵から移籍の江夏豊氏 空港で投手コーチと押し問答「何でメンバーに入ってないの?」 (2/2ページ)

 読書家でもある。シーズンに入って「これ、面白いから読んでみて」と読み終えた単行本を渡された。赤瀬川隼の『球は転々宇宙間』。内容はほとんど覚えていないが、「あの江夏さんから頂いた本」なので処分できず、まだ本棚に大事に保管してある。

 オールスター直後、チームが大阪遠征のため羽田空港に集合したとき、1軍メンバーから外れていた江夏が現れた。ここで、八木沢荘六投手コーチと「何でメンバーに入ってないの?」「お前は2軍だから連れて行けない」と押し問答。結局、事前連絡がされてなかったのが原因だった。余談だが、このとき両者の間でやり取りを聞いていた私の顔が翌日のスポーツ紙に載った。

 西武在籍は1年だけ。20試合、1勝2敗8セーブの数字を残しチームを去った。後年、甲子園球場へオープン戦を取材に行ったときのこと。昼食をとった食堂の3テーブルほど先に、江夏の姿があった。打ち合わせ中のようだったので、軽く会釈しただけ。こちらも取材仲間がいたので会話はなかった。そして帰りがけ、私たちのテーブル脇を通るとき、さりげなく伝票をつかみレジに向かった。あっけに取られて声も出ず。かっこいい行動とはこういうことなんだと感心した。数十分後、改めて記者席で「ごちそうさまでした」と頭を下げた。(敬称略)

 ■中川充四郎(なかがわ・じゅうしろう) 1951年3月25日、埼玉県生まれ。67歳。駒沢大卒業後、貿易商社勤務を経て、日本マクドナルド社に転職し都内4店舗の店長を務める。「文化放送ライオンズナイター」のリポーター募集に応募して採用され、82年から27シーズンに渡ってベンチリポーター、コメンテーターを務めた。現在はフリーのコメンテーター、ライター。

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