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千代大龍にいなされついに土…日本中が「ああ…稀勢の里」

 ■大相撲秋場所 6日目=14日、東京・両国国技館

 横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が立ち合いに頭で当たり、左からおっつけて出ようとした瞬間だった。右に体を開いた平幕の千代大龍にいなされると、足が送れず、バタバタと泳いで押し出された。

 千代大龍は当たりこそ強いが、四つに組み止めさえすればどうという相手でもない。6日目にして思わぬ落とし穴にはまってしまった格好だ。

 前日は5日目恒例の横綱審議委員会の本場所総見が行われ、委員たちは稀勢の里に熱い視線を送った。

 2日目から薄氷を踏む白星が続いていたが、「自分で自分を奮い立たせていて、必死さがすごく伝わってきた。山を越えたというか、障害をクリアした感じだ」と北村正任委員長(毎日新聞社顧問)は表情を緩めた。

 多くの親方衆が「序盤をどう切り抜けるか」に気をもんでいたように、北村氏も「3日目までに負けてしまうと、まずいと思っていた」という。

 ファンの大声援に後押しされるように、なんとか序盤戦は乗り切った。「まだ横綱相撲とはいかないが、長い間休んでいたのだから仕方ない。無理はいえない。みんな、そういう思いで頑張ってほしいと思っている」と北村氏。

 ローテーションで3日に一度、幕内後半で審判長として正面に座る藤島審判副部長(元大関武双山)は、館内の大歓声を「耳が痛くなるほど」と表現した。

 「あれだけ長いこと休んだら愛想を尽かされても仕方ない。しかし、ファンは前にも増して声援を送っている。ありがたいことではないか」

 相撲人生をかけた必死の戦い。ついに土はついたが、ファン、親方衆、横審…日本中が固唾をのんで見守っている。

 7日目の相手の千代ノ国も、たった一番で40本の懸賞金(中身は120万円)をせしめた弟弟子の千代大龍に続けと手ぐすねを引くが、稀勢の里は「まあ、またやっていきたい」と言葉に力を込めた。

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