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Tリーグ圧巻デビュー、来年W杯開催控える日本にとって ダン・カーターは生きた教科書 

 ■ラグビー・トップリーグ第3節 サントリー-神戸製鋼(14日=秩父宮)

 元ニュージーランド代表(オールブラックス)で鳴り物入りで神戸製鋼に入団したダン・カーター(36)がデビュー。1人で21得点を稼ぐ活躍で、2連覇中の王者サントリーを36-20で破る立役者となった。

 さまざまなオプションを加えると年俸3億円とも4億円とも言われる、日本ラグビー史上最高額で契約したカーターの実力は本物だった。

 背番号10、司令塔といわれるSOのポジションで自在に動いた。精度の高いキック、正面を向きながらまるで後ろにも目があるような後方へのパス…。突然ラインを力で突破する豪快なランも見せ、攻め込まれれば正確なロングキックで押し戻す。これらひとつひとつのプレーが全て冷静にさばかれるので、「チームも落ち着いてピンチに対応できた」と橋本主将は“カーター効果”を表現した。

 実際、神戸製鋼は立ち上がりから素晴らしい出足で攻め、トライを重ねて王者サントリーをタジタジにした。カーターは前半22分に快走するウイングの内側をフォローしトライも挙げた。いいようにやられたサントリーはこの直後、SOの田村を引っ込め、元豪州代表のスター、マット・ギタウを入れカーターのトイメンに置いたほどだ。

 ワールドラグビー年間最優秀選手賞3回、テストマッチ世界歴代1位の1598得点の記録保持者にとっては珍しいことではないが、この試合で神戸が挙げた36点のうち21点を1人でたたき出し、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。

 相手のサントリーからも称賛の声が飛ぶ。「キック、パス、ランのどれをとっても精度が高い」と流主将。また、現役時代にカーターと同じSOだった沢木監督は「素晴らしい教科書が日本に来てくれた。日本ラグビー界にとっては計り知れないほどのプラス」とたたえた。

 当のカーターは「4カ月のブランクの割にはよく動けたが、チームメートの助けのおかげ」と謙虚だった。

 この日の秩父宮ラグビー場は前売り券が完売し、1万7576人の観客で埋まった。来年にW杯開催を控える日本にとって、“カーター効果”は計り知れない。(スポーツジャーナリスト・柏英樹)

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