記事詳細

【艇王・植木通彦 不死鳥伝説】30年前の衝撃事故、手で鼻を触ろうとすると… 転覆後も鮮明に記憶 (1/2ページ)

 1989年1月16日、当時私は20歳でした。レース成績は右肩上がりで獲得賞金も多くなり、出場するたびに成長していくのが自分でもわかる感じでした。練習成果が出たと思うと同時に、安全面についての意識がいくぶん薄れていたかもしれません。そんなときの事故でした。大事故では意識をなくすケースが多いのですが、私は事故発生から意識はしっかりしており記憶もありました。約30年前のことですが、鮮明に覚えております。

 第6レースの1号艇で、わざわざ外に回り5コースからスタート、一気にまくりに行く展開でした。当時の新人レーサーはアウトコースからのレースを覚え、少しずつ内側のコースに入っていくのがスタンダードなのです。でも、私は7年目に初めてSG優勝したときも1号艇で5コースからでした。アウトコースからのレースにこだわりがあったからです。常に内側に複数艇いますので、スピードを保ったまま瞬時に判断する力が身についたと思います。

 事故になった第1ターンマーク(最初の折り返し地点)では、内側艇を置き去りにし、まくり切ったと思った瞬間、ボートの右舷側が浮く状態となり転覆してしまいました。ボートは直線約時速80キロ、1秒間に約20メートル進むといわれます。後続艇が減速したり、右ハンドルなどで避ける十分な距離はなく、賢明に避航操作をしていただきましたが、結果的に接触することとなりました。