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【松本秀夫 プロ野球実況中継】追悼・深山アナの仰天エピソード 映像なしでやり遂げた駅伝“推測”実況

 今月1日、元ニッポン放送アナウンサーの深山計(みやま・はかる)さんがご病気で亡くなりました。

 私にとっても大変お世話になった先輩です。切れのある実況と解説者の方との軽妙なトークが抜群でしたが、今回はスポーツアナとしての偉大さを物語るエピソードをご紹介します。

 89年のパリ駅伝中継は未曾有のアクシデントに見舞われました。なんとレースの当日、選手たちを上空から追いかけ映像を放送センターに送るはずだったヘリコプターが、悪天候で飛べなくなってしまったんです。

 放送ブースでモニターを見ながら実況する予定だった深山さんのもとには、何ひとつ選手たちの映像が届きません。唯一の情報は、現場でたすき渡しの瞬間をリポートする私の順位速報だけ。しかるに深山さんは、その順位と手元の時計とコースマップだけを頼りに、おそらく選手はこのあたりを走っているであろうという“推測”で実況をやり遂げました。

 なぜそんなことが可能だったのか? それは深山さんがレースの何日も前から全コースをくまなく何回も歩き、沿道の店や建物の名前、街路樹や草花の名前や色に至るまで、お手製の地図に入念に書き込んでいたから。

 たとえ映像がなくても、深山さんはタイムから計算して選手たちがどこのどんな道を走っているか、容易に想像できたのです。

 何も見ないで2時間以上実況するなんて、考えられますか!? 「取材は自分の足を使って」という大原則の大切さをまざまざと実感したものでした。享年64。あまりに早すぎます。心よりご冥福をお祈り申し上げます。 (フリーアナウンサー、松本秀夫)

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