記事詳細

高橋大輔、世界選手権辞退 「32歳の僕に先の希望はない」後輩に枠譲る レジェンドの身の処し方と本音 (3/3ページ)

 2014年2月のソチ五輪で6位に終わったときも、右膝痛もあって、代表に選ばれていた同年3月の世界選手権を辞退。そのまま10月に引退を表明した。当時から「世界で戦えないなら、スケートをやる意味はない」との矜恃があった。

 それでも復帰を決めたのは、どうしてももう一度滑りたい気持ちを抑えられなかったからだ。引退後に生きがいが見つからず、フジテレビのキャスターとして昨年の全日本選手権を取材した際、後輩たちの姿を目の当たりにして現役復帰を決意。全日本選手権を目標に調整してきた。

 結果的に2位にはなったが、世界選手権の大舞台で「勝負になる」という自信を持てるには至らなかった。このまま世界に出ていくことは、元世界王者のプライドが許さなかったのだろう。

 「僕は32歳で先の希望があるかというと、ないと思う。日本のスケートが盛り上がっていくためには、若手というか、日本を引っ張っている選手が世界選手権で経験を積むことが大きい」と出場枠を若手に譲った。

 来年も引退しないことを決めている。「来年も続ければ(世界選手権出場を)狙うかもしれないが、その時には高志郎(今大会5位で17歳の島田)とか、ジュニアの子がどんどん成長してくると思うので、世界選手権を狙える位置にいないと思う」と苦笑する。

 現役を続けたいが、現時点の自分の力量では世界と互角に戦えないという客観的な判断。ならば将来のある後輩に枠を譲り経験を積ませたいという思いだった。

 スポーツ各競技に“レジェンド”と呼ばれながら現役を続けるベテラン選手が多くなっているが、なかなか扱いが難しいことがある。人気や貢献度に疑いはないものの、実力が落ちたまま競技に参加し続けることで全体のレベルを下げてしまったり、若手の出場枠を圧迫して実質的に邪魔になっている場合もある。

 レジェンドと呼ばれる者たるや、その身の処し方は晩節を汚すものであってはならない。高橋にとっては“必然”の出場辞退で、2022年北京冬季五輪出場までは望むべくもないが、なにがしかの“奇跡”を期待したいものだ。

■フィギュア世界選手権 代表選手発表

 日本スケート連盟は24日、来年3月20-23日にさいたまスーパーアリーナで開催されるフィギュアスケートの世界選手権代表選手を次の通り発表した。

 【男子】宇野昌磨(トヨタ自動車)田中刑事(倉敷芸術科学大大学院)羽生結弦(ANA)

 【女子】坂本花織(シスメックス)紀平梨花(関大KFSC)宮原知子(関大)

 【ペア】須崎海羽、木原龍一組(木下グループ)

 【アイスダンス】小松原美里(倉敷FSC)ティム・コレト(米国)組

関連ニュース