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【清水満 SPORTS BAR】ミスターと重なったイチロー引退 45年前に長嶋さんも同じ“ハプニング”に (1/2ページ)

 テレビ画面を見ながら思った。21日に現役引退を表明した米大リーグ・マリナーズのイチローの“ハプニング”。アスレチックスとの開幕第2戦(東京ドーム)の試合終了後、観客は誰一人も帰らず“イチロー・コール”が鳴り止まなかった。

 「あの球場の出来事、あんなもの見せられたら(引退に)後悔などあろうはずがありません」と述懐したイチロー。声援に押し出されるようにグラウンドに出た。左翼方向に歩き、そのままグラウンドを一周…。“お別れの儀式”は粋だった。

 思い出したシーンがある。45年前の1974年10月14日、“国民的スター”長嶋茂雄さん(現巨人終身名誉監督)が引退した。当日は後楽園球場で、中日とのダブルヘッダー。第1試合終了後、突然、ミスターがグラウンドに姿を見せた。一塁側ベンチ前から右翼席方向へ、ゆっくりとフェンス沿いに歩き出した。時折足を止め、白いタオルを目に当てた。ミスターが泣いていた。

 当時、学生だった拙稿は客席にいた。この世界に入った後、ミスターに“あの時”を聞いた。

 「ええ、ハプニングです。歓声が鳴り止まなかった。で、思わずグラウンドに出たんですよ」。昭和を代表する大スターの長嶋さんと、今のイチローが重なった。

 イチローは“世界一”の4367安打など前人未到の偉業の数々を残した平成のスターである。数字だけ比べたらイチローが勝るが、昭和世代にとって、あの瞬間、ミスターの惜別に日本列島が涙したのも事実である。

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