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【福島良一 メジャーの旅】改元で思い出す平成元年 「ローズ事件」から始まった大リーグ存亡の危機

 日本が平成元年を迎えた1989年、米国では球界を揺るがす事件が起こった。ピート・ローズの野球賭博事件だ。

 地元シンシナティに本拠を置くレッズなどで24年間プレーし、歴代1位の通算4256安打を記録。その人気たるや、ある市議会議員が彼を町の記念物に指定しようとしたほどだった。

 しかし、彼はギャンブルに熱中し、レッズ監督時代に自分のチームの試合に賭けていたと証言する者が現れた。本人は「野球をギャンブルの対象にしたことはない」と否定。ファンは告発を信じようとしなかった。

 当時のバート・ジアマッティ・コミッショナーは長い調査を経て、8月24日に彼を球界から永久追放処分にすると発表。その8日後、心臓発作のため51歳で亡くなった。人々に愛されたスターの“退場”と重なり、何とも悲しい結末だった。

 その後、ワールドシリーズを地震が襲った。サンフランシスコ一帯でマグニチュード6・9の大地震が発生。同地での第3戦が開始直前に中止され、史上最長の10日間も延期された。まさに球界最悪の年となった。

 さらに94年は米プロスポーツ史上最長232日間に及ぶストのため、ワールドシリーズも中止となり、人々の野球離れが深刻化した。

 大リーグは存亡の危機に陥ったが、人気回復のためプレーオフ拡大や交流戦導入などを実行。WBCを創設するなど世界戦略も進め、95年に14億ドルだった総収入は、昨年には史上最高の103億ドル(約1兆1300億円)に達した。平成が幕を閉じようとする今、米球界はローズ事件を致命傷とすることなく前進を続けている。(大リーグ評論家・福島良一)

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