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【昭和、平成、令和 駆け抜けるキングカズ】「ドーハの悲劇」秘話… 「成田に着いたらトマトかな…」国内の反応に思わず目頭を押さえ (1/2ページ)

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 試合終了直前に喫した失点で、日本のW杯初出場の夢がついえた1993(平成5)年10月28日の「ドーハの悲劇」には、後日談があった。

 一夜明けて帰国の途に着こうとしていたカズが、おもむろに聞いてきた。「成田空港に着いたらトマトかな…」

 66年のW杯イングランド大会で北朝鮮代表に敗れたイタリア代表は帰国時、サポーターからトマトを投げつけられた。日本でも同様のことが起こると覚悟するカズに、筆者は当時所属していたサンケイスポーツの紙面のFAXを見せた。

 2、3面に躍っていた大見出し「胸張って帰って来い 忘れないこの感動」を見た瞬間、カズは目頭を押さえた。

 感涙だったことは間違いないが、こう言った。「何でこうなるの。これじゃダメなんだよ」

 結果を得られなかったときは、問答無用で批判してほしい。その繰り返しが、同年にJリーグが産声をあげプロ時代が幕を開けたばかりの日本を成長させる。サッカーとは戦争だと、ブラジルで身を持って体験したからこそ伝えたかった。

 そして去り際にこうつけ加えた。「でも、ありがとう」

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