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【田代学 ダッグアウトの裏側】古巣に凱旋したプホルスに…モリーナの“粋”な計らい

 いいシーンだった。米大リーグ歴代6位の通算646本塁打を誇るエンゼルスのアルバート・プホルス内野手(39)が23日(日本時間24日)、カージナルス戦(セントルイス)の全5打席でスタンディングオベーションを浴びた。

 「野球人生の中で最高の瞬間のひとつだ」というプホルスにとって、カ軍はデビューから11年在籍した古巣。セントルイスで打席に立つのは、自身2度目の世界一になった2011年のワールドシリーズ以来だった。そのオフにフリーエージェント(FA)で移籍したにもかかわらず、かつての本拠地のファンから温かく迎えられた。最終打席ではヘルメットを掲げて声援に応えた。

 だが、筆者の目を引いたのは、カ軍のヤディエル・モリーナ捕手(36)の行動だった。プホルスが打席に入ろうとするたび、本塁ベースの前に出て足で土をならしたり、レガーズを直したりして、スタンディングオベーションが終わるのを待っていた。元同僚への敬意と友情が伝わってくる粋な心遣いだった。

 プホルスは9回の最終打席で一飛。三塁ベンチへ戻る途中でモリーナと抱き合い、言葉を交わした。試合後にグラウンドで再会。互いのユニホームにサインを入れて交換したそうだ。

 同じスラッガーのFA移籍でも、01年にレンジャーズのアレックス・ロドリゲス内野手(16年にヤンキースで引退)が古巣のシアトルに戻ったときはひどかった。大ブーイングに加え、ネット裏後方の観客席からおもちゃの紙幣がばらまかれ、ヒラヒラと舞った。あまりにも対照的な光景を久しぶりに思い出した。

 ■田代 学(たしろ・まなぶ) サンケイスポーツ編集局次長。1991年入社。プロ野球や五輪担当などを経て、2001年から13年11月まで米国駐在の大リーグ担当キャップ。全米野球記者協会の理事や、13年ワールドシリーズの公式記録員を日本人記者で初めて務めた。米国での愛称は「ガク」。

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