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“小兵旋風”照強、安美錦に感謝「偉大な先輩がいる部屋に入ってよかった」

 ■大相撲名古屋場所 10日目=16日、ドルフィンズアリーナ

 照強(てるつよし)は巨漢千代丸の中に入ってからいなして崩し、もろ差しから押し出した。炎鵬とともに“小兵旋風”を巻き起こしている照強が、入幕3場所目にして初の勝ち越しを決めた。

 一時は横綱日馬富士、大関照ノ富士をはじめ多くの関取を抱え、栄華を誇った伊勢ケ浜部屋。しかし、一昨年九州場所前に起きた暴行問題で日馬富士が引退に追い込まれ、照ノ富士は膝の故障で序二段まで落ちて今場所は幕下で取っている。

 火が消えたように寂しくなった部屋で、今度は40歳のベテラン安美錦の引退が明らかになった。

 勝ち越しの喜びに、尊敬する兄弟子の引退の寂しさ。照強は複雑な心境を明かした。「心の中で(引退は)わかっていたけど、現実になると思うところがある。入門して10年。稽古から私生活まで安美錦関にはいろいろ指導していただいた。自分は私生活があまりいい方でなかったので、厳しく指導してもらったことで、いまの自分があるといえる。人生の財産にもなった」

 3月の春場所で新入幕。1995年(平成7年)1月17日午前5時46分に起きた阪神淡路大震災の15時間後に兵庫県洲本市の病院で生まれた。入門後はそのエピソードが先行し、毎年初場所中にやってくるその日は、勝とうが負けようが取材が殺到した。

 しかし熱心な稽古で徐々に実力が話題に先行するようになった。「稽古では下手の切り方や脇の締め方を教わった。偉大な先輩がいる部屋に入ってよかった。ずっと安美錦関の背中を見て育った。これからは親方として指導していただいて、番付を早く上げたい」。新たな目標の2ケタ勝利へ向けて走り続ける。