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【松本秀夫 プロ野球実況中継】「伝説の10月19日」生々しい舞台裏を描く 野球史研究家・山室寛之さん著書『1988年のパ・リーグ』

 今日は本のご紹介です。「1988年のパ・リーグ」(新潮社)。著者は山室寛之さん(77)。元読売新聞の記者で、98年から2001年まで巨人の球団代表も務めた方。現在は野球史研究家として活躍されています。

 1988年にスポットを当て、この年のパ・リーグの3大イベント、すなわち南海、阪急2球団の身売りと10・19川崎球場でのロッテ-近鉄ダブルヘッダーについて、舞台裏を生々しく描く本書。読み進むと、さらにその深部でうごめいていたさまざまな“知られざる激流”も明らかに。

 鉄腕・稲尾和久さん、当時のダイエーの総帥・中内功さん、阪急監督・上田利治さん、近鉄監督・仰木彬さん(いずれも故人)といった、これらの出来事の主役たちの赤裸々なコメントを読んでいると、緻密な再現ドラマを見ているような気分になります。

 著名人のみならず、伝説の10・19に関しては、当日ベンチリポーターをやっていたに過ぎない私さえも取材を受けましたから、いったいどれほどの人たちから証言を取られたのか…。

 現在アメフト用に改築された川崎球場=富士通スタジアムには、照明灯や外野フェンスなど当時の面影が残っており、私は有志らとともに保存のための署名運動を行っているのですが、山室さんはこれに共感してくださり、本書ではこのことにも触れています。

 記者魂と野球愛に満ちあふれた山室さんが渾身の取材で書き上げた一冊。50代以上の方はきっと固唾をのむと思います。お盆休みのお供にお奨めです。(フリーライター・松本秀夫)

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