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【福島良一 メジャーの旅】ナショナルズ世界一! ワシントンに“奇跡の小石”以来95年ぶり快挙

 ついに、ナショナルズが初の世界一。首都ワシントンに本拠を置くチームとしては95年ぶりの快挙だ。あのワールドシリーズ史上に残る大投手の歓喜した瞬間以来かと思うと感慨深い。

 1901年、ア・リーグ創設時にワシントン・セネタースが誕生。11年連続負け越しの弱小球団だったが、24年に初のリーグ優勝。その立役者が史上最高の投手といわれた「ビッグトレイン(大機関車)」ことウォルター・ジョンソンだった。

 07年からセ軍一筋21年で歴代2位の通算417勝をマーク。剛速球を武器に当時大リーグ史上最多の3508奪三振を記録した。プロ入り18年間待って、ようやく36歳にして大舞台で投げるチャンスが巡ってきた。

 ワールドシリーズの相手はナ・リーグの雄ジャイアンツ。その風貌から「リトルナポレオン」の異名を取る名将ジョン・マグロー監督率いる当時人気絶頂のチームだった。彼のもとでリーグ優勝10回、うち3度も世界一に輝いた。

 第1戦に先発したジョンソンは調子が悪く、延長12回を完投して12三振を奪ったが3-4で敗戦。第5戦は13安打を浴びて2-6で敗れ、2度とも敗戦投手。何て不運な大投手だろうと思われたが、ひょんなことから運命が変わった。

 第7戦もジ軍に8回表まで1-3とリードされていたが、その裏2点を取って同点に追い付いた。そこで9回から満を持してジョンソンが登場。今度こそ名誉挽回のチャンスとばかりに必死に投げ、延長12回まで無失点の好投を見せた。

 するとその裏1死一、二塁で、三塁ゴロの打球が小石に当たって跳ね上がり、外野を転々。その間に二塁ランナーが生還し、劇的なサヨナラ勝ちで初の世界一。翌日の新聞は「天がジョンソンを哀れみ小石を授けた」とこぞって書き立てた。

 その大投手のもとで幸運な世界一に輝いて以来、優勝から遠ざかり、首都にチームなき暗黒時代も33年間続いたが、逆境をはね返し奇跡の世界一。首都に「ミラクル・ナッツ」が95年ぶりの栄冠をもたらした。(大リーグ評論家・福島良一)

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