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【西本忠成 トラとら虎】掛布氏“急転直下人事”のウラ 阪神電鉄直属のアドバイザー就任、「球団の伝統」を築けるか

 阪神OBの掛布雅之氏(64)が新年度から阪神電鉄本社直属のアドバイザーに就任することになった。同氏は阪神2軍監督を経て2018年から球団のオーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー(SEA)を務めていたが、10月末に契約満了で退団したばかり。急転直下の人事の裏に何があるのか。

 長老の球団関係者は「歴史はあっても伝統が作れない球団の体質を本社筋は懸念している。掛布も憂うひとりで率直な意見を頂戴しながら、タイガースなりの伝統を築こうというのが狙い」とみる。

 事実、本社筋だけでなく、OB間でも薄れる阪神色に批判の声は根強い。好例が来季の1軍コーチングスタッフで、「阪神ドラゴンズ」と揶揄されるほど。矢野監督を筆頭に清水ヘッド、井上、新井両打撃、筒井外野守備走塁の各コーチが中日OB。さらに金村(投手)、藤井(バッテリー)も他球団からの移籍組で、純粋な阪神OBといえるのは福原(投手)、久慈、藤本(内野守備走塁)の3人に過ぎない。

 ある意味いびつな組閣の背景に、球団がビジョンを怠り続けた経緯がある。主力として活躍した選手でも、衰えると大半はトレードか引退で、指導者としての道を用意しなかった。今秋退団した鳥谷も例外ではなく、あと1年選手として阪神に残し、納得させた上で、近い将来の監督やコーチ候補として扱うことこそ伝統というものではないか。

 掛布氏は球団の籍を外れたことで、これまで以上にきたんのない意見を本社筋に投げかけられる。単なる飾りに終わるようでは意味がない。(スポーツライター・西本忠成)

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