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【江尻良文の快説・怪説】プレミア12優勝で「パレードなし」を嘆くのは…稲葉監督の見当違い 重圧かかる「五輪で金メダル獲得」なら

 侍ジャパン・稲葉篤紀監督がプレミア12を制覇したのに、パレードなしを嘆いた。「世界一になったのに、ラグビーのようにパレードしてもらえない。野球の危機を感じる」と言うのだが、見当違いもいいところだろう。

 ラグビーワールドカップで初のベスト8入りした日本代表は、「まさかあそこまでやるとは」という国民的ミラクルだったから、パレードが行われたのだ。

 対照的に、プレミアは実力的に侍ジャパンが優勝して当然という大会だったのだから、比較すること自体に無理がある。阪神で活躍したマートンがズバリ的確な指摘をしたことがある。

 「日本の野球はメジャーより実力は下だが、3Aよりは上。4Aだね」と。プレミアの参加各国のメンバーは米国の3Aの選手が中心。そうなれば、「3Aよりワンランク上の4A」の侍ジャパンが優勝してもサプライズでもなんでもない。

 開幕直前に開催されるWBCはメジャーリーガーも出場するが、3Aが主力のプレミアはファンへのインパクトに欠けるのは否めない。それなら、MLBがメジャーリーガーを出さない五輪はどうなのかという声も出るだろう。が、歴史があり、世界中で認知されている五輪は別格だ。

 アテネ五輪は長嶋茂雄氏が日本監督を務め、アジア予選を1位通過しながら「日の丸を背負い、生まれて初めてプレッシャーを感じた」と激白。本戦を前に脳梗塞で倒れたほどだ。そして、中畑清ヘッドコーチが代わって指揮を執り、銅メダルに終わっている。

 「もう一度、野球の輝きを取り戻すには五輪で勝つことが大事になる」という稲葉監督の言葉は正論。来年の東京五輪で金メダル獲得ならば、パレードも行われるだろう。が、長嶋監督をも病に倒れされた計り知れないプレッシャーを考えたら、事はそう簡単には運ばない。(江尻良文)

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