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【田代学 ダッグアウトの裏側】“サイン盗み”に揺れる大リーグ 4日間で3球団の監督が不在となる異常事態

 米大リーグが「サイン盗み」で大きく揺れている。アストロズが処分されたのに続き、レッドソックスのアレックス・コーラ(44)、メッツのカルロス・ベルトラン(42)両監督が事実上の解任に。4日間で3球団の監督が不在となる異常事態だ。

 今回の事件で残念なのは、ア軍とレ軍のワールドシリーズ制覇や劇的な1打がすべて、「サインを盗んでいたから」という目で見られてしまうことだ。成績を大きく落とす選手がいれば「盗めなくなったから」という声が上がるだろう。両軍とも才能豊かな選手が多いだけに惜しまれる。

 就任1年目の2018年に世界一となったコーラ氏と、1試合も指揮できなかったベルトラン氏は、ともにプエルトリコ出身。疑惑の目は避けられず、ラテン系の監督が増えてきた近年の流れにも水を差しかねない。

 米野球殿堂入り選手が22日に発表されたが、ベルトラン氏は選出が遠のいたと断言できる。ロイヤルズやメッツなどで20年間プレー。スイッチ打者ではただ1人、300-300(通算435本塁打、312盗塁)を達成した。04年のポストシーズンでは5試合連続を含む8本塁打を放った。

 同氏が殿堂入りの有資格者となるのは引退から5年後の23年で、投票するのは全米野球記者協会(BBWAA)に10年以上在籍の記者。選考対象はあくまで現役時代の成績だが、「当時も別の方法でサイン盗みをしていたのではないか」と疑念を抱き、投票を避ける記者は多いだろう(選出には得票率75%が必要)。

 メッツ監督就任前は、ヤンキースでキャッシュマンGM付きのアドバイザーを務めていた。ヤ軍の昨季チーム本塁打数はア・リーグ2位の306本。次に飛び火するのはヤ軍なのか。そんな声がささやかれるほど、事件の波紋は広がっている。

 ■田代 学(たしろ・まなぶ) サンケイスポーツ編集局次長。1991年入社。プロ野球や五輪担当などを経て、2001年から13年11月まで米国駐在の大リーグ担当キャップ。全米野球記者協会の理事や、13年ワールドシリーズの公式記録員を日本人記者で初めて務めた。米国での愛称は「ガク」。

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