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【田所龍一 虎番疾風録 Vol.29】トレードに出された小林 長嶋監督は無念の思いを胸に… (1/2ページ)

 「小林-江川」のトレード決定で突然、終局を迎えた「江川騒動」。ここまでほとんど“表舞台”に登場していなかった巨人の長嶋茂雄監督に報道陣は殺到した。

 1月31日、小林が連れ去られた羽田空港では、記者たちの質問に「えっ、オレは何も知らないよ。何も知らされていないんだ」と逃げるように機内へ飛び込んでいった。これだけ大きな騒動となった江川問題。長嶋監督が交換要員の名前を知らない訳がなかった。

 球団では早い段階で人選が行われた。長嶋監督は知人に「もし新浦か小林がトレードに出されるようなら、僕も監督をやめたい」と漏らしていたという。だが、江川獲得に躍起になるフロントに、ミスターの思いは伝わらない。

 当時の巨人担当記者たちはみな、不安を感じたという。監督就任1年目の昭和50年、最下位に終わった後、長嶋の意思とは別に、フロント主導でコーチ陣の刷新が強行された。ミスターはそのあと「無口」になったという。キャンプで恒例になっていた早朝散歩でもほとんど記者たちと言葉を交わさない。笑顔も見せない。毎日、重い空気が流れた。その時以来の“沈黙”が来るのでは…という不安だった。

 2月1日、宮崎の選手宿舎、青島グランドホテルで長嶋監督の緊急記者会見が行われた。

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