記事詳細

マラソンで“貸し”が出来た!? 30年冬季五輪、札幌有利も…横たわる「負の遺産」

 日本オリンピック委員会(JOC)は29日の理事会で、2030年冬季五輪開催を目指す札幌市を国内候補地に正式決定した。

 これまでは7年前に開催地が決まったが、昨夏にルール変更。国際オリンピック委員会(ICO)が新設した「将来開催地委員会」と対話を重ねて本決定を目指す。それだけに関係各所の“手探り感”はハンパない。

 JOC関係者は「結局のところは、IOCからの指示でしか決まらないですから。そこは以前も今後も同じ」。札幌といえば、IOCが東京五輪の男女マラソン、競歩の開催地に指定し大混乱しながらも、受け入れ態勢を急ピッチで進めている。「マラソンの“貸し”が冬季五輪開催地の選考に好影響をもたらすか?」との問いには「われわれとしては、少しでもプラスになればありがたい」とうなずいた。

 1972年に開催している札幌市は、26年大会の招致に乗り出すも、北海道地震の影響で断念、30年大会に切り替えた。今月11日には秋元克広札幌市長がIOCのバッハ会長と会談し、一定の評価を得たが、世界を見渡せば「五輪招致熱」は明らかに下火で、選定方式が大幅変更されたのも、五輪誘致に巨額費用がかかる点を敬遠されるようになってきたからだ。

 実際、長野五輪(1998年)の「負の遺産」は横たわったままだ。建設費用関連で市債は最大で1921億円まで膨れ上がり、現在も約410億円しか圧縮できていない。建設費に101億円がかかった、そり競技会場「スパイラル」は年間2億円する維持費が重荷となり、3年前に製氷を止めた。モーグル会場で長野市が運営する飯綱高原スキー場も今季限りでの廃止が決定した。

 現状、札幌市はそり競技を長野での「分離開催」実現に向け、協力要請する構えで費用抑制に奔走する。ソルトレークシティーが開催に興味を示すも、ライバルが少なく札幌市が有利な状況だが、手放しで喜べず課題は山積だ。(山戸英州)

関連ニュース