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【編集局から】尽きることがない野村克也さんのエピソード

 ささやき作戦、ID野球、再生工場…。11日に他界した野村克也さん(享年84)のエピソードは尽きることがありません。その戦術やアイデアは、これからも語り継がれていくことでしょう。

 駆け出しのヤクルト担当記者だった私は、その奇策を繰り出す瞬間に、幸運にも出くわしたことがあります。1995年、リーグ優勝したヤクルトは日本シリーズでオリックスと対戦。開幕直前の練習中に、野村監督(当時)は数人の記者に囲まれながら、あの名言をボソッと言い放ちました。

 「イチローの足、バッターボックスから出とるんちゃうか。出たらアウトやろ」

 このとき、この言葉にそんなに深い意味があるとは思いもしませんでした。確かにイチロー選手の前足は打席からはみ出していましたが、それまで審判から指摘されたこともなかったからです。

 しかし、活字になるとじわじわとその効果は広がっていき、イチロー選手の耳にも入ったでしょう。イチロー選手を抑えたヤクルトは、日本一になりました。

 記事を書いた私自身も野村監督の作戦に乗せられ、正直、乗っかっていった部分があったかも…。これがプロの勝負なんだと教えていただきました。(運動部長・米沢秀明)