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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】城島健司「座ったまま刺す!」類い希なる才能 実況する私も言葉を失い棒立ち状態 (1/3ページ)

 投球がミットに収まるや否や“座ったまま”腰を切る。小さくたたみ込んだ右腕を素早く振り勢いよくボールをはじき出すと待ち構えるショートのグラブに吸い込まれる。スライディングのかいもなく走者は完全なアウト。2塁盗塁阻止だ。

 「座ったまま刺す!」1999年ダイエー初優勝からソフトバンク創設期にチームの要として存在感たっぷりだった城島健司の類いまれなる才能だ。

 立ち上がる動作を省いているから捕球からの到達時間は画期的に短くなる。理屈は分かり切っているのでキャッチャーならぜひとも実践したい方法だ。しかし、過去に記憶にあるのは阪神時代の超大型捕手・田淵幸一(1969~78・阪神在籍)氏くらいだ。並の強肩では無理なのだ。

 一般的な流れだと(1)捕球する→(2)立ち上りつつ、足、腰、肩、腕、手首を素早く連動させセットアップする→(3)送球する。城島は、(1)からいきなり(3)だ。“捕る作業”と“投げる動作”をつなぐ(2)の過程を省略する。

 皆さんも試してみればすぐに分かる。3行程を順に踏めば下半身に安定を感じ、上半身の形もピタリと決まり投げやすいはずだ。では“城島流”はどうか。まず、座ったままで他の動きをしようとすると足元がぐらぐらする。不安定なので肩・腕・手首の位置が定まらない。体の上下が連動しないから投げるタイミングが取りにくくボールに力が伝わらない。結局コントロールもままならないヘロヘロ球になってしまう。

 城島は、下半身が強靱(きょうじん)で使い方がうまい。肩の関節は柔らかく滑らかに回る。組んだら一瞬のうちに相手を投げ飛ばしてしまう、柔道家の膝をついて繰り出す“一本背負い投げ”のようなイメージだ。

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