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【松本秀夫 プロ野球実況中継】オープン戦は無観客試合…熱気、歓声のない実況は「出汁のない味噌汁」

 NPBのオープン戦がすべて、無観客試合で行われることが決まりました。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ措置としてやむを得ないとはいえ、悲しい現実です。

 かつて2014年3月14日、神宮球場のヤクルト-阪神戦で無観客試合を取材しました。東日本大震災を踏まえた耐震工事のため、スタンドにはブルーシートがかけられて、球音だけがやけに響き渡っていました。オープン戦というのは、われわれスポーツアナにとっても公式戦を前にした、実況の「慣らし」を行う場なんですが、とても声を出せる雰囲気ではありませんでした。

 そもそもラジオの実況が上手く聞こえるか否かは、歓声の量に大きく左右されます。満員の甲子園球場でしゃべる実況がすごく上手く(迫力満点に)感じるのは、アナウンサーの力量もさることながら、銀傘にこだまする大歓声による部分もあるのです。閑散としたスタジアムで行う実況は、どんなに頑張っても伝わる熱気に限界があります。いわんや無観客をや…。

 先日テレビでNHKの歌謡番組を、やはり感染拡大防止のためとして無観客のステージで放送していました。でも、歓声なしでも、いい歌はしみじみいいんだと実感したのです。スポーツの場合、そうはいきません。歓声のない中継は出汁を入れていない味噌汁ほどに味気ないものです。

 公式戦までに事態が好転していますように。(フリーアナウンサー・松本秀夫)

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