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【田代学 ダッグアウトの裏側】新型コロナ対策で手腕発揮したMLBトップ 球場スタッフ、マイナー選手への金銭支援

 大リーグのロブ・マンフレッド・コミッショナー(61)には、ルール変更などで批判的なことばかり書いてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大に対してはリーダーシップを発揮。迅速に対応策を打っている。

 中でも驚いたのが、球場の清掃や警備、案内というパートの従業員への経済的な支援策だ。全30球団に100万ドルずつ寄付させ、計3000万ドル(約32億2000万円)を集めた。開幕を5月中旬以降まで再延期すると発表したばかりだったので、仕事を突然失った従業員の不安も緩和させた。

 「試合に多大な貢献をしてくれる人たちを援助するため、30球団の代表者と話し合った。全球団が迅速に足並みをそろえてくれたことを誇りに思う」という声明からも、組織のトップとしての姿勢がうかがえる。

 この2日後には、マイナーリーグの選手に対する救済策を発表。当初の開幕日までに支払われる予定だった給与や手当てを補償した。米メディアによれば、マイナーとはいえ球団と雇用契約を交わしているので、プレーできない間も選手は失業保険手当の給付を申請できない。月に15万円前後の収入しか得られない選手にとっては、数万円でも大きなサポートだ。

 大リーグ機構の関係者によれば、トランプ米大統領が楽観的な発言を繰り返していた3月上旬には、機構内に専門部会を設置。米プロバスケットボールのNBAなど他のプロリーグと情報共有、意見交換しながら対策を練っていたという。

 もちろん資金力も組織構造も違うが、日本プロ野球のコミッショナーや12球団の代表者は、開幕の時期だけでなく球場スタッフのケアまで検討しているのだろうか。こういうときこそ球団ごとではなく、団結して対応策を示してほしい。当初は新型コロナ対策で出遅れていた大リーグに、逆転されてしまった印象を受ける。

 ■田代 学(たしろ・まなぶ) サンケイスポーツ編集局次長。1991年入社。プロ野球や五輪担当などを経て、2001年から13年11月まで米国駐在の大リーグ担当キャップ。全米野球記者協会の理事や、13年ワールドシリーズの公式記録員を日本人記者で初めて務めた。米国での愛称は「ガク」。

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