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【神谷光男 スポーツ随想】「9月入学」で消える…「3年生、夏の熱戦」 (1/2ページ)

 「時計の針を2時間早める」というサマータイムの導入が本気で考えられたのは2年前の夏だった。東京五輪の猛暑対策として、組織委員会の森喜朗会長の提案で唐突に浮上した“迷案”だった。

 しかし、日本中の時計の針を2時間早くしたり遅くすることで、大規模なシステム改修の必要があり、どれだけの金がかかるかまで頭が回らなかったらしい。

 「マラソンのスタートを2時間早めれば済むことだろう」と世論の猛反対に遭い、議員立法に持ち込む前に頓挫した。

 そんなことを思い出したのは、新型コロナウイルスの影響による休校の長期化を受けて「9月入学制」が降って沸いたように出てきたからだ。休校が長引き地域間に学力差が生じることで、これを機に欧米に合わせ9月入学にすべきと全国の知事ウェブ会議で上がったのがきっかけだった。

 文科省は2021年9月に移行する場合の一斉実施案と段階的実施案の2案をひねり出した。一斉案は14年4月2日-15年9月1日生まれの17カ月分の子供がいっぺんに入学。段階案では5年かけて移行するというが、世の中がこの変化についていけるかと思うくらい複雑極まりない。

 当然、自民党内からも慎重論が強まるなど反対も多い。教育分野の研究者で作る日本教育学会は22日、通常の1・4倍の新入生が入る一斉型で実施した場合、国や家庭の負担総額が6兆9000億円に達し、巨額な財政支出と社会の混乱を招くとの試算を公表した。