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巨人・坂本、大城コロナ陽性…防ぎきれない「サイレント・スプレッダー」 プロ野球、見切り開幕の危うい賭け (2/3ページ)

 3月に阪神で球界第1号感染者が発生した際には、PCR検査を受ける時点で3人のうち藤浪しか発表されなかったことが、ガイドライン違反として問題視された。巨人もPCRで陽性判明後に発表したが、NPBは問題なしと判断。ガイドラインの趣旨は感染拡大と風評被害の防止であり、実名公表の対象は「発症に伴うPCR検査」(井原事務局長)を受けた選手のみだという。つまり無症状の坂本、大城は規定外というわけだ。

 今回のパンデミックの元凶として、無症状の感染者が自覚なく「サイレント・スプレッダー(沈黙の拡散者)」として暗躍しているのは周知の通り。巨人によれば、坂本と大城は「3月下旬以降、体調に何の問題もなく、味覚・嗅覚等の異状も感じていません」というが、裏を返せばチーム内に蔓延しなかったのは幸運の賜物でしかない。

 「サイレント・スプレッダー」を把握して安全を確保する体制は、各国プロサッカーリーグにとって試合を行う前提条件だ。韓国、ドイツ、スペイン、イングランド、イタリアなどは全選手とスタッフ、審判らへのPCR検査を徹底している。

 ただ、医療崩壊の阻止を優先した日本では、こうした大規模なPCR検査は難しく、Jリーグは消極的な姿勢を示していた。一般市民を差し置いた検査で世間の反感を買う、いわゆる“上級国民”問題への配慮だ。

 だが徐々に感染拡大に歯止めがかかり、緊急事態宣言が解除された上、従来の鼻咽頭より簡便な唾液を検体とするPCR検査が認可されたことで、Jリーグは方針転換。事務局内に検査センター部門を新設し、J1-3全56クラブの選手と関係者、レフェリーなど約2300人余のPCR検査を決めた。費用は全額、リーグ側が負担。6月20日前後を皮切りに、2週間に1度のペースで実施していくという。