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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】無観客試合で感じた、観衆が生み出す「力」 実況を超えるリアクション…人々の気持ちから沸き起こる最高の表現 (1/3ページ)

 “スタンドの観客がゼロ!”

 そんな野球中継を自分が担当するなんて40年の実況人生で1度も考えたことがなかった。常にファンとともにスタジアムにいて歓声の中で試合を見つめ盛り上がり続けてきた。それが新型コロナウイルス感染拡大の影響で…。

 2020年3月14日オープン戦オリックス対阪神、京セラドーム大阪で無観客試合の実況放送を初体験した。目前の開幕に向け最終盤の関西対決、土曜日の昼下がりでもあり、大いに盛り上がるはずが、ぐるりスタンドは無人の青い観客席だ。拍手や歓声、ヒッティングマーチにチャンステーマ、両軍の応援歌の大合唱もジェット風船を飛ばす子供たちの姿も全く存在しないのだ。

 投球がキャッチャーミットをたたく音、打球音、球審のコール、通常の試合では気付きにくい球音が新鮮といえなくもないが、それらが単音で耳に届いて来ることに空虚感すら感じた。とにかくしゃべりにくいのだ。

 改めて思うことは、観衆が作る空気、ファンの熱、スタジアムの一体感に実況中継はどれだけ支えられてきたことか! 生かされてきたことか! ということだ。それがゼロになる、はしごを外された気分だった。今後対応しなければならない無観客試合の中継をどうするの? と突き付けられた。考えなくちゃ!

 “その力”はすごい! 高校野球の甲子園を題材にすればよく分かる。

 【観衆、応援は実況そのものだ!】

 例えば、天理高校の試合を思い浮かべると、コンバットマーチが軽快に流れると攻撃時であることが分かる。ヒッティングマーチが送られる。どの選手か特定できる。ランナーが出ると“ファンファーレ”がチャンス到来を伝える、さらに、バントで2塁に進めると“ワッショイ”がスコアリングポジションを注目させる。

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