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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】完璧な胴上げ投手…圧巻の完封劇に大谷の夢が見えた! (1/4ページ)

 実に11・5ゲームの大差を逆転しての「ほんまかいな?」の優勝だった。平成28(2016)年パリーグのペナントレースを制したのは北海道日本ハムファイターズ。9月28日、埼玉県所沢の西武ドーム、歓喜の瞬間、マウンドで屈伸運動でもするように両腕を高々と掲げ、柔らかな笑顔で雄たけびを上げたのが今を時めく“二刀流”大谷翔平だ。先発・完投・完封で非の打ちどころのない胴上げ投手になった。大谷のもとにチームメートが駆け寄り首に手を回して背伸びするように抱き着き喜びの輪が広がった。

 「お山の大将? うーん古いかな、もっとカッコいいし、でも存在感はそんな感じ、みんな彼に勝たせてもらったって雰囲気にあふれている。なんと表現すればいいのだろう…」そんな光景だった。そしてもう一度カメラに向って親指を立てて右手を突き出した。よほどうれしかったのだろう。「これまでに優勝の経験がなかったので、してみたかったです。優勝って本当にいいものなのだと実感しました」と試合後にコメントした。

 「そうか初めての体験だったんだ!」そう思って大谷の球歴を振り返ると、花巻東高校(岩手)時代は超大型投手として将来性が高く評価されていたが、代表校になった2年の夏は体調が万全ではなく1試合にリリーフ登板したのみ、3年選抜は優勝した藤波晋太郎(阪神)を擁する大阪桐蔭と対戦し11四死球9失点の大乱調で初戦敗退を喫している(藤浪から本塁打は放ったが…)。

 3年のラストサマーは県大会で160キロを記録して全国の目を一点に集めながらも甲子園には届かなかった。傑出した実力を全国の大舞台で発揮できず、頂点を極められなかったのがアマチュア時代のファイナルだった。