記事詳細

“コロナ感染ゼロ”岩手で高校野球代替大会 帰ってきた「球児たちの夏」 舞台裏現地ルポ (2/3ページ)

 試合は無観客ながら、部員1人につき2人まで家族の入場が認められ、スタンドから応援。記者と同様に事前登録制で、球場入りの際には氏名をチェックされ、検温も実施された。

 両校はマスク姿で球場入り。グラウンドで着用の義務はないため、ベンチの監督、部長や審判はマスクを外した。県立校の水沢商は部員24人。選手20人にボールボーイ、記録員などで全員がベンチに入れた。一方の専大北上は夏5度、春1度の甲子園出場を誇る私立の強豪校。部員79人の多くが、スタンドから試合を見守った。

 ウオーミングアップは球場外、シートノックも省略。試合前の整列でも選手らは発声せず頭を下げてあいさつと、見慣れない光景が続いた後で、いよいよ今夏最初のプレーボールがかかった。

 華やかなブラスバンドやチア、同級生の応援もないが、いざ試合が始まれば熱くなるのは仕方ないところ。水沢商の小山智之監督は「(タッチなしは)プロ野球でもやっていますし、練習試合のときから意識はしていました。ただ、ゲームだと気持ちが入り、タッチするケースもあった。そこまでは細かく言っていません」と苦笑いだった。

 円陣やピンチの場面では、マウンドで選手たちが密になる場面も。ベンチからは大きな声が発せられ、雨でグラウンドがグチャグチャになるなかで、両校とも必死に勝利を追い求めた。

 記念すべき初戦は、専大北上を水沢商が8-7で破る番狂わせ。試合後にソーシャルディスタンスを保って行われた会見で、小山監督は「勝ち負けよりも、いいゲームをしたいと思った。無欲が勝因なのかと思います」と大金星を振り返った。

 これまで専大北上とは「とても、とても…」と小山監督が恐縮するように、練習試合など組んでもらえないような力関係だった。「なかなかやる機会もなく、公式戦で何度かありますけど全敗です。1度も勝ったことがなくて、今日初めて勝ちました」。これぞ高校野球の怖さであり、醍醐味といえるだろう。

関連ニュース