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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】100キロ超の巨体にウイットに富んだ大阪弁 最高のキャラクターだったドカベン・香川伸行 (1/4ページ)

 “巨人の星”“男どアホウ甲子園”“アパッチ野球軍”“ちかいの魔球”…週刊誌の野球漫画にうつつを抜かしていた子供時代、最も関心をもって読みふけっていたのが、1972年から81年にかけて連載された漫画家・水島新司さんの「ドカベン」4番キャッチャー山田太郎を主人公にした高校野球の世界だ。毎週発売を心待ちにしていた。

 72年は野球部でキャッチャーをしていた中学3年のころで、通学の電車の中での1番の楽しみだった。母には「漫画ばっかり買って無駄遣いして、電車の中でそんなもの読んでたら周りの人に幼稚に思われるよ! いい加減にやめなさい!」といつもたしなめられていた。が、やめるつもりは全くなかった。

 この漫画は設定が現実の大会とかなりリンクしていたり、戦術やルールについての情報が豊富で、描写も野球選手の動きに忠実で、何度も読み返えすほどはまっていた。この漫画から得た知識が今の仕事に少なからず役立っているように思う。そんな中で「浪速のドカベン」が評判になっていた。

 大阪・浪商(現・大体大浪商)の香川伸行捕手。「ドカベン現るか! 早く見てみたいなぁ」ところが、私にはちょっと変わった感覚がある。雑誌の漫画がアニメやドラマ、映画化される場合、自分がイメージしていた声(声優)や絵(俳優)と少しでもずれていると興味を失ってしまうのである。「イメージにフィットしないのだったら全く似ていない方がいいなぁ」と思っていた。

 だから実はドキドキしていた。でも、香川を初めて見て、「ああよかった」とホッとした。それはあまりにも「漫画・ドカベン」と「浪速のドカベン香川伸行」がかけ離れていたからだった。