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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】デビュー戦は雨中継から(下) 小柄で俊敏、強気で無口…拓大紅陵・飯田捕手に魅せられて (1/3ページ)

 雨で中止の私の甲子園ラジオ全国放送のデビュー戦、想定外で正直少々がっかり拍子抜けの感もあったが、仕切り直しの翌日は好材料も多かった。

 早朝目覚めて宿舎のホテルのカーテンを開けると、夜明け前から窓越しに春の日差しがキラキラ輝くセンバツらしい日和、前日のどんよりとした胸の内とは打って変わって気持ちが浮き立った。

 1日前なら第3試合だったが、スケジュール変更で第1試合に組みなおされた。これはやりやすい。選手と同様に2試合目以降は目安の時刻はあるが前の試合に左右される。しかし、1試合目は8時と定刻である。雑念なく“本格的実況人生のスタートライン”に向かった。

 1986年(昭和61年)の第58回大会1回戦、洲本(兵庫)対拓大紅陵(千葉)。

 淡路島から甲子園に出場した洲本は瀬戸内野球団で知られ、33年前初出場初優勝を飾っている。一方の拓大紅陵は優勝候補にも挙げられている関東の新進気鋭の実力校だ。話題豊富、好チーム同士の対戦が始まった。

 前の日の“予行演習”のおかげもありしゃべりは快調。「野球は見ていて楽しいが、実況するのもとても面白いな」と思う余裕すらあった。

 とはいいながら、目にするものを言葉にするのは難しいし、見どころが多く視線があっちこっちに飛んでしまって忙しい。お隣の解説者にも色々なことを聞きたくなって、これまた収拾がつかない。全てを放送で伝えられないもどかしさも痛感した。