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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】高校野球に学ぶ「困難で輝く選手」 頼もしい自立心が未来のヒントに (3/3ページ)

 高校生にとって気の休まらない日々が続いている。交流試合や各都道府県の独自大会の開催が決まった後、絶対に感染することが許されない。そんなプレッシャーを全員が受けたはずだ。感染予防策を尽くし、やり抜いている。部の活動で、授業で、家庭生活で、どこでも毎日怠ることなく、コロナと第一線で仲間や家族全員で戦っているのだ。また、大会が催され3年生も最後の夏を飾ることができている。

 「自分たちは他の部と比較すると恵まれ過ぎている」と周囲からの見られ方に対する意識もあったと思うが精いっぱい戦っている。しかも例年以上に注目され報道される機会は多い。取材のインタビューなどに答える選手は相当言葉を選び、気を使ってることがうかがえる。

 およそ半年前には想像もしなかった環境に遭遇している。野球に対してこれほどの困難は長い歴史の中で初めてではないだろうか。その中で高校生たちの闘いは見事だと思う。特に自立心を感じる。自分たちが置かれている状況を受け止め、できることを見つけ、周囲にも気を使い、それぞれの目標に向かう。今年の大ピンチに頼もしい若者たちの姿が見える。

 過去に誰も遭遇したことのなかった状況の中で野球と向き合っている。そのただ中にいる高校生たちが見ているもの感じていること、生み出した知恵や工夫。過去のどんな名選手や監督、豊富な知識の関係者にとっても未知の世界だ。高校野球は将来を見据えると課題は少なくない。さらなる困難に見舞われることも予測できる。

 今経験していることは必ず役立つ。それは高校生たちの声だ。周囲が支えになることは重要だが、高校生たちの体験から感じていることや野球の将来に対して思うことなど聞いてみたいことが沢山ある。その内容はきっと生きるはずだ。高校野球連盟の中に高校生の部会を設け現場の意見を聞きつつ議論をすることなども必要ではないか。いまこそ高校生に学びたい。

 ■小野塚康之(おのづか・やすゆき) 1957(昭和32)年5月23日、東京都生まれ。80(同55)年、学習院大からNHKに入局。以降40年間、主に高校野球、プロ野球の実況を担当し、名物アナウンサーとして活躍した。今年3月にNHKとの契約を終了しフリーに。現在もDAZN、日テレジータス、JSPORTSなどで実況家として野球中継に携わっている

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