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【西本忠成 トラとら虎】阪神、逆襲の“カギ”を握る近本の出塁率

 阪神の首脳陣が巨人追撃のキーマンと位置づける近本光司外野手(25)が調子を上げている。7月末に2割2分台まで落ち込んだ打率を、8月戦線で3割に手が届くところまで引き上げた。

 「やっと迷いから覚めたようだ。本来の思い切りのいいスイングが戻ってきた。やはり、阪神打線はリードオフマン近本が出塁して初めて火がつく。サンズやボーアを生かすも殺すも彼次第」と球団OBは見る。

 顕著な例は27日の中日戦(甲子園)。2点を追う4回、先頭近本が死球で出塁すると、3回まで完璧な投球を見せていた柳のリズムが狂う。続く木浪の二塁打で好機は広がり、サンズが右中間に逆転3ラン-。

 「当然、中日バッテリーは近本の足を警戒する。打者だけに集中できない。これが木浪、サンズへの甘いストレートとなって表れた。たかが死球だが、流れを変える価値の高いものになった」と先のOBは評価する。

 昨年、セ・リーグ新人記録を更新する159安打に加え、36盗塁で史上3人目の新人盗塁王。周囲は前途洋々とみたが、甘くはなかった。極度の打撃不振で開幕から22試合目には屈辱のスタメン落ち。首脳陣だけでなく、同僚の福留まで心配して指導に乗り出すほどだった。

 「あの時も必ず復活すると信じていた。なぜなら常に真摯(しんし)に野球と向き合うから。そして、努力を怠らない。野球の神様はこういう選手を見捨てない」と首脳陣のひとりは買う。

 目下、15盗塁はリーグトップ。2年連続のタイトルも視野に入るが、それほど執着心がないのは近本なりの野球観。以前から唯一の個人的目標は「シーズン100得点」といってはばからない。安打も盗塁も得点に結びついてこそ意味があるとの思考である。

 間もなくペナントレースは折り返し。勝率5割前後をさまよう猛虎逆襲の成否は、チーム愛を貫く近本の出塁数にかかっている。(スポーツライター・西本忠成)

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