記事詳細

【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】高校野球に学ぶ コントロールに楽しさを知る 56回センバツ、大船渡・金野正志投手 (1/3ページ)

 ボール6個分のホームベースの幅、膝から胸元までの高低、さらにストライクとボールのゾーンの投げ分け。リードするキャッチャーの要求通りにミットを捉える“制球力・コントロール”は美しく気持ちが良いものだ。今シーズンのプロ野球なら巨人の菅野智之に阪神の西勇輝、楽天の涌井秀章に日本ハムの有原航平らがパッと頭に浮かぶが、そうそういつもお目にかかれるものではない。

 NPBとMLBで大活躍し、“ミスターコントローラー”と称された上原浩治が20勝を挙げた巨人時代の最も状態がよかった日ですら、思い通りに制球できたのは7割から8割程度だそうだ。ならば高校生は6割達成できればハイレベルといえるかなと想像しつつ、誰がいるかなと思いを巡らす。

 私は勝手に、コントロールについては圧倒的に右利きの方が優れているとイメージしている。稲尾和久さん(西鉄)、小山正明さん(阪神など)…。名前を挙げて指折り数えてみるとやはり右が多く、逆に左投手にはボールの勢いが抜きんでていたり、特徴ある変化球が際立つ人はいるが、いわゆるコースの「出し入れ」で勝負するタイプはいないような気がする。

 阪神で100勝&100セーブを記録した抜群の制球力を誇るサウスポー山本和行さん(広島商業・甲子園出場)に「野球は右利きのスポーツなので左利きにはフィットしないところがある。コントロールというきめ細やかな作業になるとコンスタントに実践するのが難しいのではないか。またマウンドの傾斜も右ピッチャーなら体の重心がある心臓の方向へ移動して下っていけばいいのだが、これも逆になる。いろいろ不利があるので私自身は右利きの倍以上の努力とトライをしてコントロールという財産を身に着けた」と聞いた。実は無四球完投が1番多いのは300勝左腕の鈴木啓示さん(近鉄)でやはり努力の権化のような大投手だ。

関連ニュース