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【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】ダルビッシュを考える(中) 不安な立ち上がりからのノーヒッター、味方のエラーに四球…不都合な展開に濃縮された能力の高さ (1/3ページ)

 ダルビッシュがノーヒットノーランを達成したのは2004年センバツ76回大会1回戦・熊本工業戦だ。

 9回 30打者 129球 0安打 12三振 2四球 0失点

 三振の多さが彼らしさを示して、絶好調で投げた結果やり遂げたように読み取れるが実はそうでもなかった(表参照)。

 投手にとって立ち上がりは誰だっていつだって嫌なものだそうだ。

 「今日の自分の状態はどうだ? ボールの走り具合は? コントロールは? 変化球の切れは?相手の出方は?…」

 とにかく多くのことが手さぐりで始まる。不安なのだ。この日のダルビッシュははじめの一歩で足を引っ張られる。討ち取った感触はサードゴロ、だが悪送球でノーアウト1塁、ピッチャーにとってそのゲームのファーストアウトは落ち着きをもたらすものだが、正反対の結果になってしまったのである。

 いきなりのセットポジション。“熊工”のアルプスは盛り上がる。1塁ランナーは俊足ぞろいの熊工の中で最も速い宮崎竜一遊撃手(3年)、2番打者は前年の秋の公式戦で14の犠打を決めてチーム内では“バントの名手”といわれている左打ちの橋村泰志二塁手(2年)。守っている方からすれば浮足立っても仕方がない状況に置かれた。3球投じて2ボール1ストライク、打者優位なカウント、3ボールにはしたくないところで、「バントをさせてランナーを2塁に進められてもアウトが早く欲しい」そう考えるケースでもある。

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